りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治 夏の会 昼の部

 8/10(月)、よみうりホールで行われた「柳家小三治 夏の会 昼の部」に行ってきた。

 

・小はぜ「富士詣り」
・三三「金明竹
~仲入り~
・小八「夏泥」
小三治「小言念仏」

 

本当に久しぶりの小三治師匠。
お元気そうな姿にほっとして嬉しくて泣きそうになる。
小三治師匠の落語会は中止続き。頑張って取ったチケットが無駄になり、でも確かに小三治師匠や会に行ったお客さんが感染するようなことになったら…と思うと中止もやむを得ないしなぁ。

久しぶりの小三治師匠は、今まであまり人に話していなかったけれど、ある凄い方が師匠の落語を聞きに行きたいと連絡を下さって国立演芸場が厳戒態勢を敷いたこと…しかし結局それが来られなくなったこと…そんなことが数回あった後、今度は招かれて行って落語をしたという話。
その時にやったのは「青菜」だった、というのは…すごい話だなぁ…。
それからこの間テレビで渥美清さんと藤田まことさん2人を特集した番組を見た、という話。
藤田まことさんには会うことはできなかったけれど、渥美清さんには一度会ったことがある。永六輔さんが間に入ってくれて、和田誠さんと一緒に行って…。
ああ、そういえば和田誠といえば彼の奥さんは面白い子で。私は彼女がまだ出たての頃…「男が出るか女が出るか?」と大声を張り上げてた頃から知ってるんだけど。
会うまではあれはわざとウケると思ってやってるんだろうと思っていたんだけど会ってみたら違ってた。彼女は内面に激しい物を持っていてそれが湧き出してきている。本当に面白い人でそれになによりシャンソンが素晴らしかった。二人が結婚するという報告を受けた時は、これは素晴らしい夫婦になると思った。お互いにとっていい相手だと思ってとても嬉しかった。

で、渥美清さんと一緒に鰻を食べに行ったんだけど…と話しかけたところで、また袖から「師匠、時間が!」の声。
あああーーーその話聞きたかったーー。なにせ私は今年に入ってから寅さんに大ハマりしていて見まくっていて、渥美清さんのこともどういう人だったんだろうと興味があったのだ。
声をかけられた師匠は大慌てで「渥美清さんは一言も発しませんでした。間に入った永さんに一言二言答えただけで。ああ、こういう人なんだなと思った。でも素敵だなと思いました」と。


それからこの間横浜で5か月ぶりに落語をやったら言葉が出てこなかった、という話に。
自分は落語の会話を頭で覚えてやっていなくて、自然に登場人物が出てきてしゃべりだす、というような落語をやってきた。
今になってそれを後悔している。普通に覚えてやっていたら、と。
横浜ではちょっとやけくそになってお客さんからリクエストなんか取ったら…「文七元結」なんて言う人もいて。
そんな話、何十年もやってねぇよ。
で、ためらいながら「青菜」って言ったお客さんがいて、ああ、青菜いいな、と思ってやり始めたんだけど、やり始めてから気が付いた、これは結構厄介な話で。


…で、この日は時間もなかったので「短い噺を」と言って「小言念仏」。
この日の小言念仏では、「飯がこげくせぇぞ。え?お隣?お隣だって飯はこげねぇほうがいいんだから言ってこい。え?行きたくない?お隣とは気が合わない?…おかしいなぁ。こんなセリフはなかったはずなんだが」。

ぶわはははははは。
師匠は不本意だったかもしれないけど、こんな面白いセリフがふわっと出てくるなんて、やっぱり小三治師匠は落語の世界に生きてるんだなぁと思う。
決まり切ったセリフ、展開、サゲ、その面白さももちろんあるけど、登場人物が何言いだすかわからない、そんな落語の楽しさを教えてくれるのが今の小三治師匠なのだ。