りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

人間

 

人間

人間

  • 作者:又吉 直樹
  • 発売日: 2019/10/10
  • メディア: 単行本
 

 ★★★★

僕達は人間をやるのが下手だ。38歳の誕生日に届いた、ある騒動の報せ。何者かになろうとあがいた季節の果てで、かつての若者達を待ち受けていたものとは?初の長編小説にして代表作、誕生!! 

フィクションではあるけれど、作者本人の肉声を感じる文章やセリフがあってドキドキする。

「創作」を志している人たちが集うシェアハウスに渦巻く嫉妬と羨望と鬱屈した感情。
マイナスな面ばかり目が行ってしまうけれどそこから刺激をもらったり創作の原動力になったりすることももちろんあるわけで、だからこそ永山も影島もここで過ごした数年を完全に断ち切ることはできなかったのだろう。

生々しくて痛々しい箇所もあったけど面白かった。

後半の沖縄の部分はちょっと唐突な印象を受けてしまったのだが、永山のルーツを描きたかった?のだろうか。

「人間をやるのが下手」というワードには少し励まされる。