りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

犬と負け犬

 

犬と負け犬

犬と負け犬

 

 ★★★

「永遠の息子」ジョン・ファンテが「父親」の目線で書いた唯一の作品
そして代表作で、最も愛されてきた逸品
秋田犬も全編にわたって登場!
夢見るのはローマ、ナヴォーナ広場… 

主人公のヘンリーは4人の子どもを持ちポルシェに乗りそれなりの邸宅に住んでいるやり手の作家兼脚本家。
しかし最近は小説は書けず貧窮し、お金欲しさにやる気満々で挑んだテレビの仕事も内容にぞっとして逃げ出してしまったり、やることに一貫性がない。
家族を棄ててイタリアにトンずらすることを夢見る…まさに中年の危機そのもの。

妻が4度目の妊娠をした時の言動に至っては「クソ」と罵りたいような男。時折訪れる優しさにほろりとすると、数秒後(数行後)にはまた「やっぱりクソだ」とげんなりする。

ハチャメチャさの中にユーモアとペーソスがたっぷり。
面白く読んだけど「なんだったんだ?」という気持ちも残る。なんだったんだ?