りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助ドッポ

1/30(水)、お江戸両国亭で行われたさん助ドッポに行ってきた。

・さん助 ご挨拶
・さん助 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第二十六回「敷島河原の騙し討ち」
~仲入り~
・さん助「品川心中(上)」


さん助師匠 ご挨拶
先日地方の仕事に行く時に、隣に座った女性4人組の話に釘付けになってしまったというさん助師匠。
一人の女性が自分の母親のことをクソであると言い出し、それはなぜかというと2年ほど前に理由は聞かずに数十万貸してくれと電話をしてきた。仕方なく貸してそのお金は最近になってようやく少しずつ返済してくれたのだが、また15万ほど貸してくれと言われた。今度も理由は聞かないでくれと言うのだが、さすがに理由を教えてくれ、そうじゃなければ貸せないと言ったら、今度は弟に電話をしたらしい。
二人で話し合ってどうしても理由を聞かせてと迫ったところ、どうも母親はパチンコ依存症になっていて、前の数十万もパチンコに使ったらしい。しかもその母親が今度は駆け落ちをしてしまった、と。
そこまで話して「あー着いた!」「さー行こう!」と元気に降りて行った4人。
寝ることもできず話に聞き入っていたさん助師匠は女性の変わり身の早さにしばし呆然となった、と。

…なんか面白い話になりそうだったのにそうでもなかった。わははは。(←ひどい)
聞こえちゃうから聞いちゃったと言ってたけど、結構噺家さんってそうやってまわりの話に聞き耳を立てる傾向があるような気がする。気を付けよう…(そんな結論)。


さん助師匠 初代談洲楼燕枝の述「西海屋騒動」第二十六回「敷島河原の騙し討ち」
そうだ、私は前回来られなかったので1回抜けているのだ。配られたあらすじを見ると、どうやら前回は善導和尚(花五郎)と松太郎が出てきたらしい。いい者?がようやく登場?そんで最後は義松と対決?

お山もお糸も殺した義松が雨に降られて木の洞で休んでいると通りかかった二人の男。
1人は鴻巣大親分の治郎兵衛でもう一人は水戸の浪士・鬼一郎。
治郎兵衛は自分の子分二人を前橋の大親分である平三の子分に殺されたことを遺恨に思い、平三を殺そうと企んでいる。
その話を聞いた鬼一郎は、平三は自分一人で始末すると約束する。
二人の話を聞いた義松は「いい話を聞いた」とほくそ笑む。
その日、二人と同じ宿に泊まり顔を確認した義松は、一人で平三の屋敷を訪ねる。
昨日聞いた話を平三に伝えて、自分がなんとかするからまかせてくれ、そのかわり自分を子分として仲間に入れてほしいと言う。
最初は断った平三だったがそんな話をしている最中に鬼一郎が訪ねてきて、行きがかり上義松に任せることになる。

義松と鬼一郎は仲良くなり、鬼一郎はすっかり義松に心を許すようになる。
二人で飲んでいる時に義松は鬼一郎が平三を殺そうとしていることを知っている、自分も実は平三をしとめにやってきたのだ、と話す。
自分の叔父が平三の賭博で身ぐるみはがされたせいで死んだのを恨みに思い、いつか殺してやるつもりで入ったが平三にスキがない。しかし自分にいい考えがある、とある計画を話す。
平三を敷島河原の渡しにある小さな小屋に呼び出し、二人で殺そうという。
約束の日時になって鬼一郎が小屋に行くと義松は2人で平三を殺す時の形を決めようと言う。
先生(鬼一郎)は右をやってくれ、自分は左をやるから。何度もそう言っていると、小屋に隠れていた義松の子分・忠太が後ろから鬼一郎を槍で突きさす。義松も加勢し、そこでだまされたことに気づく鬼一郎。
さらに鬼一郎を殺したあと、忠太のことも槍で殺す義松だった。


…はぁ。もう誰も彼も殺すんでしょ、そんで平三のことも殺して大親分の座を奪って、でもなんかわけのわからない理由でしくじって逃げ出して、途中でまた出会った人を殺すんだね。はいはい…。
西海屋騒動って任侠物としてもどうなんだろう。あまりにも出てくる人たちが義松を信用しすぎじゃない?ちょろすぎない?
そのわりに聴いていて義松に全く人間的魅力がこれっぽっちも感じられないから、なんでそんなに信用されるのか、結局何をしたいのか、それが全く伝わってこなくて白目…。


さん助師匠「品川心中(上)」
遊郭の噺があまりかからなくなりました、とさん助師匠。そしてこの噺も以前は寄席でよくかかっていたけど、あまりかからなくなった、と。
…そうかなー。結構よく聞くけどなぁー。
あと鈴本のトリの時に聞いたまくら。
自分がニツ目の時に大阪の先代の松喬師匠の会に伺った時のこと。松喬師匠というのはとても気さくな方でニツ目の自分のことも「さん弥さん」と呼んでくださって、打ち上げの時も話しかけてくれたり…その時に大阪に遊郭の名残を残している遊び場があるので後学のために連れて行ってあげましょう、と言ってくれた。
その時、さん喬師匠も一緒だったんだけど、行ってみるとそこは確かに遊郭の雰囲気。
下着姿のきれいな女性が見えるところにいて、やり手ばばぁが「お兄さん、遊んでって」と声をかけてくる。
そのきれいな女性はいわゆる「看板」で中に入るときれいではない女性が相手をしてくれたりもするらしいのだが、松喬師匠は「こんなん一人で来たらとても危なくて入れない。今日はわしがおるから行ってきなさい。待っててあげるから」とおっしゃる。
しかしこういう場所が大嫌いなさん喬師匠はもう帰りたくて仕方ない。「いや、やめましょう」「いや、うちは弟子にそういう教育はしてないんで」と言っていたんだけど最後は「芸が汚らわしくなるから!」。
それを聞いて「明烏の若旦那かよ!」と思った、と。
…ぶわははは。前に聞いた時も大爆笑だったけど、おかしい~。ちょっと入ってみたかったさん助師匠と本気で嫌がるさん喬師匠の姿が目に浮かぶ。いいなぁ。
そんなまくらから「品川心中(上)」。

お染があんまりいい女っぽくない(笑)。
心中の相手を見つくろうのに、「さん助?あー売れない噺家ね。なんか今変な噺をやってるみたいだからそれが終わるまではいいか」には笑った。
金ちゃんがお染から手紙が来て嬉しくてにやけたり、店に行くとほったらかしで拗ねるのも、おかしい。
お金のことなら俺に言ってくれ!と最初は強気に出ながら15両も無理、10両も無理…と腰が引けるのも楽しい。
お染に海に連れて行かれてびくびくしてキャーキャー言う金ちゃんがさん助師匠にぴったりで笑ってしまう。
またびしょぬれのよれよれの姿で犬に追われながら親方の家にたどり着いた金ちゃんの姿が目に浮かんで大笑い。
役人かと思って慌てる親分の家のドタバタもばかばかしくておかしい。

すごーく面白かったんだけど、ちょっともっさりしたところがあって残念だったのと、せっかくだから通しでやってほしかったな。