りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

怪物 (ブッツァーティ短篇集 3)

 

怪物 (ブッツァーティ短篇集 3)

怪物 (ブッツァーティ短篇集 3)

 

 ★★★★★

「なんてこった!おれたちは入っちまった!…」謎のメッセージを残し、地球の周りを回りつづける人工衛星の乗組員が見たものとは?…人類に癒しがたい懊悩をもたらした驚愕の発見を語る「一九五八年三月二十四日」、古代エジプト遺跡の発掘現場で起きた奇跡と災厄を描く「ホルム・エル=ハガルを訪れた王」、屋根裏部屋でこの世のものとは思われない、見るもおぞましい生き物に遭遇した家政婦兼家庭教師の娘が底知れぬ不安と疑念にからめとられてゆく「怪物」など、全18篇を収録。知られざるエッフェル塔建設秘話、流行り病に隠された恐るべき真実、砂漠での謎の任務に出立する若い医師…幻想と寓意とアイロニーが織り成す未邦訳短篇集第三弾。 

久しぶりに読んだブッツァーティ
半世紀以上前の作品なのにまるで古びていない…どころか、今のコロナウィルス騒動やポピュラリズムやヘイトを予感さえるような作品もあって驚く。
人間の抱く欲望、恐怖、不安というのは普遍的なもので、そういう普遍性を描くのが文学なのかなぁ…と思う。

ひょいっと現実を越えるような幻想的な出来事にぞくぞくしたり、寓話的な物語ににんまりしたり楽しい読書。

「もったいぶった男」「ホルム・エル=ハガルを訪れた王」「イニャッツィオ王の奇跡」「怪物」が特に好き。