りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

高架線

 

高架線

高架線

 

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風呂トイレつき、駅から5分で家賃3万円。古アパート・かたばみ荘では、出るときに次の入居者を自分で探してくることになっていた。部屋を引き継いだ住人がある日失踪して…。人々の記憶と語りで綴られていく16年間の物語。注目の芥川賞作家、初めての長篇小説。 

面白かった!

家賃3万円のオンボロアパート「かたばみ荘」。不動産を通さないかわりに、住人がこのアパートを出て行く時には次の住人を探さないといけないシステム。
この部屋に住んでいてしばらく失踪していた三郎を中心に、同じ部屋に住んでいた人や彼らにかかわりのある人たちが自分語りをする。

彼らの話から浮かび上がってくる誰かが誰かを大切に想う気持ち。友情とか自分がどうしても譲れないものとか、親しくても踏み込んでいかない感じがじんわりと温かい。

西武線沿線の描写も見事で(なにせ地元…!)きれいになる前の駅舎とか商店街とか西武線が高架になる時の瞬間とか…「ああ、わかる!」って何度もうなづいてしまった。

初めて読んだ滝口さん作品。面白かったから他の作品も読んでみたい。