りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

さん助燕弥二人會

7/29(土)、お江戸日本橋亭で行われた「さん助燕弥二人會」に行ってきた。

 

・ひしもち「初天神
・さん助「七度狐(上)」
・燕弥「佃祭」
~仲入り~
・燕弥「夏泥」
・さん助「七度狐(下)」

さん助師匠「七度狐(上)」
今月の初めに九州に行ってきたというさん助師匠。
折しも宗像・沖ノ島と関連遺産群世界遺産に登録されたので、それはもうお祝いムード一色なのだろう、くす玉とか横断幕とか貼ってあるのだろうと思っていたのだが、どこへ行ってもまったくそんなそぶりがない。
こうなってくるとどうしてもくす玉を見なければ帰れない!という気持ちになり、宗像で一番栄えているという道の駅まで訪ねてみたのだが、ない。
どういうことなのか、ともやもやしていると、帰りに福岡を通ったらそこに大きな横断幕が。
なんだ、あそこまで行く必要なかったのか、と。
で、自分が一番感動したのは、そのくす玉探しの遺産めぐりをしていた時、あがた森魚のコンサートのポスターを見たこと。
まだやってるんだ!といたく感動したのだが、ガイドをしてくれた若い女の子たちは誰もわからない。
いや、でも名前は知らなくても歌は聞いたことがあるはずです!とさん助師匠が「赤色エレジー」を口ずさんでみたのだが、通じず。
それが車に戻って走り出したら一人の女の子が「あ!わかった!これじゃないですか!」と赤色エレジーをうたいだした。
だからさっきうたったじゃないか!と思ったのだけれど、さん助師匠の歌を聴いてもまったくピンとこずに自力で思い出したらしい。

そんなまくらから「七度狐(上)」。
この噺は長いのでこれから前半をお話して、仲入り後に後半を申し上げます。
ただ心配なのはそれまでにお客様が前半を覚えていてくださってるかどうか…。

「七度狐」は芸協でしか聞いたことがない。大好きな噺。
助六師匠を初めて見た時が「七度狐」で、ハートを射抜かれたのだった。
芸協で見るときはいつも鳴り物入りでそれもまた素敵なのだが、今回は鳴り物なし。

冒頭で、聞いたことがないような薀蓄。なんかちょっとわかりづらかったのだが、さん助師匠ってこういうちょっと難しい薀蓄とか謂れが好きだよなぁ。自分で本を読んで調べたりしているんだろうか。

疲れたーと言って江戸から来た旅人が「やなぎや」という料理屋に入るところからは今まで聞いたことがあるのと一緒。
食べ物が何もなく、でも目の前においしそうなイカの木の芽和えがあったので、それを出してくれと言うと、店の主人が「これはお客様にはお出しできない」と。
二人前とはいわない、一人前でも半人前でも一口でも…いくら頼んでもくれないので、お金は払ってその皿を持って店を駆け出す。
食べたあとのお皿は竹藪に投げ捨ててしまうのだが、それがここに住むたちの悪い狐にぶつかってしまう。
皿を当てられた狐が怒ってぬおおーーっと立ち上がるんだけど、その様子がもうほんとに妖怪っぽくておかしいおかしい。大爆笑。
立ち上がるだけでこんなにおかしいって反則でしょ。というところで前半はおしまい。


燕弥師匠「佃祭」
出てくるなり「ちなみに私もあがた森魚は知りません」と燕弥師匠。
一度だけさん助師匠とカラオケに行ったことがあるんだけど、もうこれが驚くほど下手!そりゃ太鼓も叩けないわけだわ、と思ったと。

…ぶわははは。
確かにさん助師匠って音痴そうに見える。でも前に落語の中で歌うシーンがあったら案外うまかったんだよな。声はいいから…。

そして今日は隅田川の花火で、浴衣を着たカップルをここに来るまでの間に何組も見ましたけど…。女の子はいいんですよ。なんかデパートで買ったばっかりなんだろうなっていう浴衣でかわいらしくて。男ですよ。男。もうみんな100%バカボン状態。帯がすごい高い位置。そのくせスマホ見ながら髪型を整えたりなんかして「おれって粋だろ」みたいな風。
なんですかね、あれを見るといらっときて「死ねばいいのに」と思っちゃいます。

…わかる!なんかいらっとくるんだ、男の浴衣。お前は洋服でいいよ!と言いたくなる。なんでだろう。

そんなまくらから「情けは人のためならず」の説明をして「佃祭」へ。
そんなに好きな噺じゃなくて、なんかいつも「長いなぁ」と思ってしまうことが多いんだけど、燕弥師匠の「佃祭」は刈り込んであったこともあって長く感じなかった。
旦那がすごくいい人で見ていてじーんとくるし、助けた女の亭主が男らしくて礼儀正しくてかっこいい。
燕弥師匠はいい男だからこういう噺が合うよなぁ。
お初徳兵衛」とか「名人長二」とかやったらいいのに。

 

さん助師匠「七度狐(下)」
狐の謎の小噺(笑)から「七度狐(下)」。
いやもうこれが楽しい楽しい。
いきなり現れた川を前にして「深さを調べてみよう」と石を投げ込むところ。弟分が小石を投げて「なんの音もしない」「無音」と言うのに大笑い。無音って…!
棒で深さを確かめるところ、鳴り物入りだとあそこで「ふかーいかあさいかー♪」と節が付いて楽しいんだけど、鳴り物はないのでそこは台詞のみ。でもなんか二人が裸でわちゃわちゃしているのが伝わってきて面白い。
二人が麦畑を裸になって通っているのを村の百姓が見つけて声をかけるところもおかしい。

そのあと、尼寺に泊めてもらって、べちょたれ雑炊をごちそうになったり、尼さんが出かけてしまって怖がる二人の元へ村人が金貸しのばあさんの棺桶を持ってきて置いて行ってしまうところ。
ばあさんの死骸が棺桶から出てくるところがまた妖怪っぽくて大笑い。もう最高。

ばかばかしくてにぎやかで楽しくてさん助師匠にぴったり。
楽しかった~。
南なん師匠にプレゼントを渡せなかった悲しみも笑ったおかげでずいぶん癒えた。感謝。