りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第29回・TWO 夏丸・萬橘二人会

2/5(月)らくごカフェで行われた「第29回・TWO 夏丸・萬橘二人会」に行ってきた。


・萬橘「日和違い」
・夏丸「小言幸兵衛」
~仲入り~
・夏丸「洗濯物」
・萬橘「お見立て」

萬橘師匠「日和違い」
前座さんも入ってきてるから尊敬されたいけど全然尊敬されない、というまくら。
萬橘師匠って、なんかちょっと人と感覚が違っているところがあるんだけど、でもしごく真っ当で、そこがなんともいえずおかしい。
長めのまくらから「日和違い」。珍しい噺。

雨が降るかどうか教えてくれと言いに来る男のめんどくささと素直さが萬橘師匠に重なって見える。
雨が降ってきて米屋の軒先で雨宿りしていてでもとてもやみそうにないからと傘を貸してくれと頼むのだが「あなたのことを知らないので返してくれるかわからないから貸せない」と言われると「ま、そりゃそうだな。おれも返さないつもりだったしな」って、ひねくれてるんだけど素直。
なんてことない噺だけど、楽しかった。


夏丸さん「小言幸兵衛」
春に真打ち昇進が決まっている夏丸さん。ほんとに忙しそうだ。
協会が作ってくれたポスター、いろんな人から「夫婦みたい」と言われるらしい。
確かに男女二人着物姿で寄り添うようなかたちで「披露」の文字が見えると、誰でも披露宴?と思うのかもしれない。
でもみなさんよく考えて下さい。誰が自分の結婚披露宴のポスターを作ってあちこちに貼るんですすか。
…ぶわはははは。確かに。

いやでも芸協の場合、披露興行は毎日出るわけで、しかも今回二人。ほんとに大変そう~。
お披露目のチケット、新宿、池袋、浅草と共通で使えるということで、便利!
とりあえず4枚買ったけど、会社の人誘ってまずは末廣亭、だな!

今日は宣伝できればもういいんです、などと言いながら「小言幸兵衛」。
おおっ、すでに真打披露目を意識したかのような演目。

夏丸さんって不思議な噺家さんで、若いのに妙な落ち着きがあってちょっとふてぶてしい感じもあるんだけど、でもこうそこはかとなく繊細な感じも漂ってる。
「小言幸兵衛」って若い噺家さんがやるとちょっと背伸びしている感がしちゃうんだけど、夏丸さんはそういう感じが全然ない。

笑っちゃったのが、仕立て屋の若旦那の名前が「桂南なん」。それを聞いた幸兵衛さんが「桂南なん?なんなんだその名前?」。
…ぶわははは。最高。


夏丸さん「洗濯物」
おお、芸協噺。こういう昭和風味の落語、ほんとに夏丸さんに似合ってる。
帰ってきた旦那に「あなた聞いて、大変なの。大変よ」と言う奥さん。それを旦那が「お前はすぐに大変だ大変だと言う」とぶつくさ言うと「もう。言う気がしなくなったわ」と奥さんが拗ねるんだけど、そのむっとしかたがすごくリアルでドキっとする。
軽くてばかばかしくて楽しかったー。


萬橘師匠「お見立て」
若い衆が花魁から「融通がきかないんだから」「変にまじめなんだから」と言われるのが面白い。それがスパイスのように効いていて、ああ、たしかにこの若い衆は嘘が苦手なんだな、だからどんどんおかしなことになってしまうんだな、という流れになっている。
もくべえが喜瀬川を好きな理由が「自分にどことなく似てるから」というのがおかしくて、「それは花魁には口が裂けても言えない」とつぶやく若い衆が面白い。

笑った笑った。