りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

池袋演芸場2月上席昼の部 夜の部

2/3(土)、池袋演芸場に行ってきた。
小三治師匠のトリじゃないから大丈夫だろうと11時前ぐらいに行くと、大行列。
ひぃーー。なんだこれは。もういやだなぁ寄席ブーム。なんて思っていたらこの日は節分で豆まきがあるのだった。
うひー。毎年節分の日に気づかず寄席に行って激しい豆の奪い合いに心が折れて「もう節分の日には来ない」と誓うのだが、また今年も気づかず来てしまった(あほ)。


昼の部
・一花「転失気」
・一左「子ほめ」
・さん生「松山鏡」
・夢葉 マジック
・蔵之助「まんじゅうこわい
・文雀「写真の仇討」
ロケット団 漫才
・燕路「やかんなめ」
・三語楼「ふぐ鍋」
・小猫 ものまね
・さん喬「真田小僧
・豆まき
~仲入り~
・柳朝「お菊の皿
・権太楼「町内の若い衆」
・正楽 紙切り
・一朝「明烏

夢葉先生 マジック
通っている芝居の時に夢葉先生が顔付けされていると最初から最後まで流れるように全く同じ展開なのでむしろ気持ちがいいくらいに感じるのだが、久しぶりに見ると内容が変わっていて、それにも「おお」と思う。
好き嫌いがあるだろうけど、私は好き、この先生。楽しい。胡散臭さとうまさのバランスが絶妙で。


蔵之助師匠「まんじゅうこわい
なんとなく遊雀師匠に似ている印象。
ギャグも盛りだくさんでくだらなくて楽しい「まんじゅうこわい」。好き。


燕路師匠「やかんなめ」
おそらく初めて聞くお客さんが多く、お侍が女中に「やかん頭をなめさせてくれ」と言って激怒すると、しーん…と次の展開をドキドキ待つ感じに。そこでちらっと後ろを見て「べくない、笑うな」と言うので、みんなほっとしてどっと笑いが。
うわーー、こういうのいいなー。
私はもうこんな風には驚けないのがちょっとさみしい。


小猫先生 ものまね
トークが上手でぎゅっと客席を惹きつけるのがほんとに見事だといつも思う。
すばらしいなぁ。


さん喬師匠「真田小僧
さん喬師匠が「真田小僧」って珍しい気が。
父親が息子に振り回される様子が、ちょっとした表情や間で伝わってきて、すごいなぁ。これが落語のうまさっていうやつなんだろうなぁ。


柳朝師匠「お菊の皿
ちょっと季節外れなのではと思わなくもなかったけど、たしかにこの日のお客さんにはぴったりの噺で盛り上がった~。


権太楼師匠「町内の若い衆」
「代書屋」じゃない!(嬉)
おかみさんのどーんとした迫力に笑った笑った。


一朝師匠「明烏
一朝師匠が何かの会で「明烏」を(ほぼ)ネタ卸しされたというのを聞いて、見たい~!と思っていたのだ。
紙切りの時に「明烏」をリクエストしたお客さんがいたんだけど、あれはそういうことだったのかな。
この噺、私は全然面白いと思えなくて、誰がやってもあんまり変わりがないなぁと、失礼なことを思っていたんだけど、一朝師匠の「明烏」楽しかった!

源兵衛と多助のおかしさは想像していた通りだったんだけど、若旦那がほんとに堅くて大きな声を出して怒るのがなんかすごくばかばかしくておかしくて。
それだけに花魁と一夜をともにしてすっかりおとなしくなっちゃってるのがおかしくて、源兵衛と多助が怒る気持ちもわかるわー。

陽気で楽しい「明烏」だった。

 

夜の部
・寿伴「雑俳」
・志ん吉「大隈家に生まれて」
・志ん丸「古着買い」
ホンキートンク 漫才
・小せん「野ざらし
・左橋「親子酒」
・アサダ二世 マジック
・志ん橋「出来心」
・雲助「身投げ屋」
・豆まき
志ん五「トイレの死神」
・小袁治「紀州
・小菊 俗曲
・志ん陽「粗忽の釘」&かっぽれ

 
寿伴さん「雑俳」
ご隠居と八つぁんの会話から始まったので「道灌」かなと聞いていたら、ご隠居に娘がいると聞いて八つぁんが「え?娘?」と食いつき、その娘が46歳と聞いて「40過ぎたら娘じゃなくばばあ」に、お?こここれはもしや、さん助師匠の「雑俳」なのでは?!
八つぁんが聞いてご隠居が答えるをやって3回目に「これは前座は2回までと決まっている。3回やると間違えるおそれがある」でどっとウケて、おおお!

最後はあの顔を真っ赤にして「ねこのこのーーーーー」。
寿伴さん…。そういう芸風?を目指してる…わけじゃないだろうけど、すごくウケていたので病み付きになっちゃうかも?
いやぁ驚いた。笑った。


志ん吉さん「大隈家に生まれて」
「なんですかね、寿伴さんは。あのこなれ感…。私より年下のはずなんですが」。
ぶわはははは。いじられる寿伴さんを初めて見た。これもさん助雑俳効果か?

しかも志ん吉さんが話し始めたのが新作?えええ?志ん吉さんって新作もやるの?大隅家の子孫である男が早稲田じゃなく慶応を受けたいと言い出して母親が説得する、という噺で、びっくりして聞いていると電車に関するマニアックなセリフがあって「この部分で誰から教わったかがわかるでしょ」と言うのでまた大笑い。駒次さんの新作を志ん吉さんが?
いやぁイメージがガラッと変わった。面白い。

小せん師匠「野ざらし
この噺でお客さんがすーーっと引くのを何回か目撃していて、私はこの噺大好きなんだけど難しい噺なんだなぁと実感。
小せん師匠はさすがお客さんを引かせることなくすごく楽しそうにされていて、さすがだなぁ、と。歌声が伸びやかで素晴らしいのは強味だなぁ。


志ん橋師匠「出来心」
新米泥棒と兄貴分の会話。もう聞き飽きた台詞なのにすごくわくわくして笑ってしまう。とぼけた表情と絶妙の間。
好きだなぁ志ん橋師匠。楽しかった。


志ん五師匠「トイレの死神」
いやなにこればかばかしい(笑)。尿意との戦いの最中に現れるトイレの死神。
笑った。


小袁治師匠「紀州
この間末廣亭で見た時と同じように、談志師匠との思い出の長いまくらからの「紀州」。
あの時はなんか少し刺々しい感じのエピソードで楽しくなかったんだけど、すごく面白かった。エピソードの内容や語り口で印象ががらっと変わるんだな。


小菊先生 俗曲
初めて聴く曲だったんだけど節分にちなんだ曲だったらしく「今日やらないでいつやるんだ」とおっしゃっていた。
それ以外にもちょっと珍しい曲もあって、なんかすごいお得感。素敵だった。


志ん陽師匠「粗忽の釘」&かっぽれ
粗忽な男のすとーんと抜けた明るさに笑い通し。
女房の男らしいキレ方にも大笑い。
最後はかっぽれのサービス。すごい動きがきびきびしていてかっこよかった。


昼の部、夜の部ともに仲入りの前に豆まき。
昼の部ではわりと後ろの方にまで投げてくれて、私は早々に諦めていたんだけど、机の上にぽろっと袋が落ちてきて1つゲット。豆だけかと思ったら袋の中に「手拭い」と書いた紙が入ってて、受付に言ったら一琴師匠の手拭いをいただいてしまった。
夜の部は強肩の噺家さんがいなかったらしく私のいる席より後方には全く届かなかった。
夜の部では前の方にいたお客さんが舞台の下にどーっと押し寄せて手を出して幾つももらったり、ものすごい身体と腕を伸ばして誰かが取れそうになった袋を強奪するおじさんもいて、そ、そんなにまでして?そして一人でそんなにいくつもとって、一つもとれなかった人に分けてあげようとは思わないのかな、となんか悲しい気持に。

もらうもんもらって仲入りで帰ったお客さんも何名か。
まぁこれはこれで寄席の楽しみ方なのかもしれないけど、ちょっともやもや。

昼の部は立ち見の方も大勢いらしたんだけど、一朝師匠の時に貧血で倒れた女性がいて騒然。
またトイレなのか出入りする人もいてそのたびに通路に座っているお客さんが立ったり座ったりしないといけなくて最後の方は「もう無理!」って通ろうとするおばさんに言い放つ人も…。
寄席は命がけで来るものじゃないよね…。もう少し入場制限すればいいのになぁ。

ま、なんのかんの言って私も昼夜通しでいて大いに楽しんだんだけど、でも座れた人(自分含め)と立ち見の人のしんどさは全く違うし、ちょっともやっとくる節分の日の寄席だったなー。