神秘列車
- 作者: 甘耀明,白水紀子
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2015/06/24
- メディア: 単行本
- この商品を含むブログ (7件) を見る
政治犯の祖父が乗った神秘列車を探す旅に出た少年が見たものとは。台湾の歴史の襞に埋もれた人生の物語を劇的に描く短篇集。
とてもバラエティに富んだ短編集だ。
表題作は懐かしさを覚える作品で、日本人と近しい感覚を持っているんだなと安心していると、2作目の「伯公、妾を娶る」でガツンとやられる。なんじゃこりゃー?ラテンアメリカもびっくりのマジックリアリズム?!
強烈だけど明るくてニコニコした感じなところが独自で面白い。
台湾の小説ってあまり読んだことがなかったのだけれど、この間読んだ「歩道橋の魔術師」もそうだったけれど、日本人ととても近い感覚を持ちながら、一方で神秘的な世界を築いているところが読んでいてとても面白い。
「葬式でのお話」は、とにかくお話好きで誰彼かまわずお話を聞かせてくれとうるさくせがむので「素麺婆ちゃん」と呼ばれていた祖母の葬式の席で、孫が祖母が好きだったお話を語る、というもの。
老人と動物がなんと魅力的なことよ。
普段あまり読むことのないような国や作家の作品を出してくれるエクス・リブリス。素晴らしい。これからも新潮クレストとともに要チェックだな。