りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

蒼氓

蒼氓 (新潮文庫)

蒼氓 (新潮文庫)

★★★

1930年にブラジルに移民に行く人たちを描いた作品。
移民収容所での渡航までの日々を描いた第一部、渡航中の日々を描いた第二部、ブラジルに着いていよいよこれから生活が始まるという日々を描いた第三部。
集まってきたのは日々の暮らしもままならないような貧農たち。希望というよりは、諦めにも似た気持ちを抱きながら、それでもどうにか暮らしていくため、前に進んで行こうとしている。

故郷も家も全て捨てて来たのに、健康診断でアウトになり、帰るあてにもなく船を後にする人たち。 弟のために自分を犠牲にしてプロポーズを断ってブラジルに渡ろうとする姉。
小心でこずるいけれど悪人になりきれない役人。

哲也が勧めていたので読んでみたんだけど、うーん…やっぱりこれぐらいの時代の日本文学って苦手かなぁ…。
人間のもつずるい面や弱い面を描きながらも、それを肯定するでも否定するでもなく、傍観者としての視線で淡々と描く作者の姿勢がなんだか少し鼻につく…。

あ、哲也ってこの哲也ね。