りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ママは決心したよ!

ママは決心したよ!

ママは決心したよ!

★★★★★
これはかなり豪快さんのママを中心に主人公(作者自身とだぶる部分が多い。独身の小学校教師)と家族や近所の人などとの日常を描いた短編集。

大きな事件が起こる訳ではないんだけど、ママをはじめとした登場人物がかなりユニークでそれを見つめる作者の目がとても温かくて和む。

彼女がママと住む家は物がたまり放題。ひいおばあさんが釘にかけた上着は今もそのまま下がっているし、メイプルームクリームのビンは蓋がさびつき玉虫色になっているし、台所の下には古いタイプライターがなぜか置いてある。

そんな中で、ママは望遠鏡で池を観察していて鳥類学者に目をつけられたり、病気になって病院の前で白衣の肉屋さんと世間話をして満足してかえってきたり、クラッシックのラジオ局にブルースをリクエストしたり。

そんな話がいくつも淡々と書かれていて、思わずぷっと吹き出して、そのあともしばらくにやにやが止まらないような‥。

訳者が、FEN放送で作者による自作朗読を聞いてあまりにも面白かったので、放送局に問い合わせてこの本の翻訳にこぎつけたというようなことが後書きに書いてあった。

作者の視線が非常に優しくて、非常にあたたかくて、ユーモアに満ちた作品。続編も近いうちに読んでみようっと。