りつこの読書と落語メモ

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末廣亭3月下席夜の部

3/23(金)、末廣亭3月下席夜の部に行ってきた。


北見伸 マジック
・遊之介「粗忽の釘
・松鯉「赤穂義士伝より殿中松の廊下」
~仲入り~
・文月「出来心(上)」
Wモアモア 漫才
・米福「宮戸川(上)」
・歌春「鍋草履」
ボンボンブラザーズ 曲芸
・蝠丸「奥山の首」


松鯉先生「赤穂義士伝より殿中松の廊下」
赤穂義士伝より殿中松の廊下」は何回か聴いているけど、いいなぁ松鯉先生。穏やかなのに凛としていて空気ががらりと変わる。


蝠丸師匠「奥山の首」
「私業界でも有名な…屈指の…決断できない男なんです」と蝠丸師匠。
そういえば前に小助六師匠がそんなことをまくらでおっしゃっていた覚えが。
「昨日も高座に上がってまだ何の噺をしようか迷ってたんですが、今もそうです」。
そんなことをあれこれ話しながら「今から申し上げるお噺はとても珍しい噺で…これをやってるの私ぐらいなもんなんですけど、そのお噺をさせていただいてよろしいでしょうか」。
大きな拍手が起きると「ありがとうございます。拍手。これが曲者でね。拍手してくださらなくてもやるんですけどね。この間、一番大きな拍手してくれたお客さんが始まったとたんにすぐに帰りましたからね」

江戸時代、上野広小路はたいそう栄えていた。大道芸を商う者や物売り、またそれを見に集まってくる人。
広小路の真ん中でぼーっと立っている男にぶつかった男が「おい、てめぇ。なにこんな往来の真ん中で突っ立ってるんだい」と怒鳴り声。
言われた男がそう言われてもぼーっとしているので喧嘩を売られたと思ったのか喧嘩腰になるのを止めに入った男。「田舎から出てきたばかりなんだろうからかんべんしてやれ。こういうことをするから江戸っ子の評判が悪くなる」となだめると、男はすっと去って行った。
いなくなってからぼーっと立っていた男が懐に手を入れて「あ、財布がない」。
ってことはさっきの男はスリだったんだな。最初からおかしいと思ったんだ、ぶつかっておいて怒り出すから。
江戸に身寄りがないと聞いて「私は大工の政五郎」と名乗り、自分がこうして声をかけたのも何かの縁だから私の所へいらっしゃいと男を連れて行く。
家にあげて「あなたはどこの出身で?」と聞くと「飛騨高山」。
飛騨高山といえば我々大工の憧れの左甚五郎先生がいらっしゃるところ。あなたお会いしたことは?なんでも普段はぼーっとした方らしいですな。

そんな話をして政五郎は自分の名前も忘れてしまったという男を家に泊めてやるのだが、この男が一日中ぼーっとしていて何も仕事をしようとしない。10日目におかみさんが「追い出せ」とさわぎだしたので、政五郎が見世物で何か恐ろしいものを作って出すという趣向があるからやってみれば?と勧めると、男は小塚原に晒し首を見に行き、帰ってくると一心不乱に彫り始める。
政五郎の家に住んでいる他の弟子たちがあいつが彫ったものを見て来ようと二階に上がるとそこには本物の生首があってみんな仰天。
政五郎だけはこれを見て「こんな風に彫れるのは甚五郎をおいて他にはいない」と見抜く。

…それから時を経ること500年…お宝鑑定の番組にこの生首を持って行った男がいて鑑定してもらうと…。

…政五郎と聞いてすぐに「左甚五郎モノだな」と思ったのだが、確かにこれは聞いたことがない噺。
晒し首を見て生首を彫るというちょっと気持ち悪い噺だけど、蝠丸師匠の口調で語られるとそういうおどろおどろしさもなく淡々としていて楽しい。
また500年後…という展開も蝠丸師匠らしくばかばかしくて面白い。

よかった~。この芝居、あと3回ぐらいは行けるかな。