りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

隅田川馬石・三遊亭兼好『聴きたいふたり』

1/21(火)、日本橋社会教育会館で行われた「隅田川馬石・三遊亭兼好『聴きたいふたり』」に行ってきた。
水天宮には日本橋公会堂と日本橋社会教育会館という二つのホールがあるんだけど、この日なぜかホールを間違えて日本橋公会堂に行ってしまった私。
ホールについたらすでに開口一番が出ていて「あれ?19時開演なのに?」と不思議に思いながら席につこうとすると、「あれ?座席番号が違う?」。
まままさかホールを間違えた!?とあわてて入口に行って係りの人に聞くと「あら、ごめんなさい。気づかずに(チケット)切っちゃったわ。」と半券を返してくださった。
うひゃーーー!!とあわててホールを飛び出し日本橋社会教育会館へ。方向音痴の私だけど、どちらのホールも何度も行っているので、迷わず走って行けたのはラッキーだった。
ぜいぜい言いながら日本橋社会教育会館につくと、道楽亭のおじさんが「こちらは日本橋社会教育会館ですよ〜。今日はすでに3人ホールを間違えて来たお客さんがいらっしゃいます」。
「私は間違えてあっちへ行っちゃいました」というと「おお。そのパターンもあったか!」。

・こうもり「こうもり袋」
・馬石「反対俥」
・兼好「二番煎じ」
〜仲入り〜
・兼好「厄払い」
・馬石「夢金」

こうもりさん「こうもり袋」
どなたかのブログで「こんなに酷い前座は初めて見た」と書かれていたこうもりさん。
どんなにひどいのか?とドキドキしていたのだが、落語がひどいというのではなく、まくらが長いのであった。まくらっていうか愚痴のようなぶっちゃけ話のようなものを延々として、落語は最後にさらっと。
そうか、前座でこれはひどい、という意味だったのね。はっはっは。
ま、これはこれでありかな、とは思うけど、次に見て同じ愚痴だとちょっとうへぇ…かも。

馬石師匠「反対俥」
馬石師匠は寄席では何回か見たことがあるけれど、ホールで見るのは初めて。
なんかくりくりっとしていていかにも人が良さそうでかわいい…。
馬石師匠の「反対俥」は前に寄席で見たことがあるのだが、お客が「とほほ」と困りながらも付き合ってやってる優しさが見ていてなんとも心地よい。
最初の車夫の弱々しさと二番目の車夫の威勢の良さがくっきりでていて良かった。

兼好師匠「二番煎じ」
兼好師匠らしい軽やかな「二番煎じ」。寒い町を回りながら歌うシーンが最高。能のような謡いをやるのと、三味線で気持ちよーく歌うのが楽しくて大笑い。
リズムがいいから笑いがどんどん相乗効果で大きくなっていくんだよなぁ。

兼好師匠「厄払い」
「二番煎じ」がたっぷりだったので、「厄払い」はさらりと。
兼好師匠の与太郎は逃げ足が速いのが特徴?わっとやってさっといなくなるところが面白い。

馬石師匠「夢金」
「夢金」は前に小満ん師匠で見たことがあるのだけれど、馬石師匠の「夢金」もとてもよかった。
寝言で「百両!」と叫ぶほど金を欲しがる船頭の熊が、いかにも訳ありな男女(男は侍のようだが汚い身なりをしていて、女の方はきれいな着物を着ている)を船に乗せる。
雪が降りしきる寒い夜に酒手が十分に出ると聞いて船を出したものの、なかなか声をかけてこない客にイライラする熊。ぶつぶつ愚痴を言いながら船を漕ぐ様子がいかにも寒そう。
ようやく侍から声がかかりうきうきして中に入ると、「実はこの女は家まで送ってやるとだまして連れてきたのだが懐に二百両入れている。女を殺すのを手伝ってくれたらいくらか金は分けてやる」と言われる。
欲が勝つのか良心が勝つのか。熊が心を決めるところの転換が見事で思わず噺に入り込んでしまった。

いかにも人のよさそうなぽよんとした人だけど、こんなふうな凄みのある噺もできてしまうのね。さすが雲助師匠のお弟子さんだなぁ。
またいい噺家さんを見つけてしまった!と小躍りしながら帰ったのだった。