りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第53回特撰落語会 古今亭菊之丞・隅田川馬石二人会

5/30(金)日本橋社会教育会館で行われた第53回特撰落語会 古今亭菊之丞隅田川馬石二人会に行ってきた。
寄席では何回か見ているけれど、二人会は初めての菊之丞師匠。馬石師匠もホールで見るのはこれが二回目でワクワク。
昨年は「面白い」と思った噺家さんを集中的に追いかけて見すぎて飽きるということがあったので、今年はあまり固めて見ないように気をつけているのだ。

・半輔「黄金の大黒」
・菊之丞「短命」
・馬石「締め込み」
〜仲入り〜
・馬石「安兵衛狐」
・菊之丞「唐茄子屋政談」

半輔さん「黄金の大黒」
師匠は好きじゃないけどお弟子さんの方は好きっていうことが結構あって、半輔さんもそう。
明るくて素直で好きなタイプの落語。「黄金の大黒」って噺自体も好きなんだけど、大家さんがご馳走をしてくれると聞いて3日ぶりにおまんまが食べられると白目をむく男がたまらなくおかしい。

菊之丞師匠「短命」
馬石師匠のことを走ったり食べ物に気を付けたり電磁波を受けないように工夫したりして「健康にとても気を使っている」と。
楽屋に馬石師匠の鍵が置いてあったんだけど、キーホルダーに笛が付いていて、「ああ、助かりたいんだな」と思った、には笑った。

また、いろいろな場所でお仕事をさせてもらっているのだけれど、この間会社のお色気宴会に呼ばれた、と。お色気宴会ってなに?と思ったら、最初に出てきたのがSMのコスチュームに身を包んだマジシャン。その次がいわゆるストリップ。その後に菊之丞師匠。
ストリップの後に落語なんかやったってウケるわけないじゃないか、と上がったのだが、まくらを振ってみると案外ちゃんと聞いてくれて笑ってくれる。これなら落語もいけるかもしれないと羽織を脱いだらとたんにお客さんが「おおおおお」と身を乗り出した。師匠の前がストリップだっただけにもっと脱ぐかと期待された?「身を乗り出したってこれ以上は脱ぎませんよ!」。

落語もリズムがよくて流れるようだけどまくらもそうで聞いていて気持ちよく笑える。うまいよなぁ。好きだなぁ。
「その時にやった噺をやります」と「短命」。
もう何回も聴いていてわかっているのに全部がおかしい。特に若夫婦の仲の良さを八が説明するところで、おかみさんがご飯をよそって亭主に渡す形がなんとも色っぽくて笑ってしまう。楽しい。

馬石師匠「締め込み」
毎日4キロ走っているんだけど、自転車で行って靴を履きかえてTシャツ短パンになってストップウォッチをセットして2キロ行って戻ってくる。
この間走って戻ってきたらその自転車を不審そうに覗き込んでいる警官が。え?なに?と思いながらもタイムをチェックして汗を拭いているといきなり職務質問された。なんでも近くで放火があったらしい。
職業はなんですかと聞かれ、ああ困った、落語家なんて言うと余計に怪しまれそうだ…。
「落語家さんなんですか、笑点に出てますか?」
出てません。
「芸名は?」
すみだがわばせき…。(またなんていうか怪しい名前だよなぁ…。)
「知りませんねぇ。あ、でも師匠の名前を言ってもらえばわかるかもしれません」
師匠は…ごかいどうくもすけ…。(ますます怪しいと思われるか…)
「知りませんねぇ。(ぎろり)」

そんなまくらから「締め込み」。
何がおかしいってお湯から戻ってきた奥さんのかわいらしさがハンパない。お隣の奥さんと話をしていて「ええ、じゃ」と言って終わりにして帰ろうとするのだけれど相手がなかなか話をやめないので「あ、ええ、そうね」とまた戻る。その困ったような顔が本当に愛くるしくてたまらない。
夫婦げんかのシーンも奥さんのかわいらしさが出ていてなんとも魅力的。
そしてこの噺が「締め込み」というわけが最後まで聞いてようやく分かった。いつもオチをちゃんと聞けてなかったんだな。

馬石師匠「安兵衛狐」
馬石師匠の「安兵衛狐」は前に浅草演芸ホールで見たことがあったような。訪ねてくる幽霊もきつねもかわいくて、それならお嫁さんにもらっちゃおうか、と思うのも無理はないような気がする。

菊之丞師匠「唐茄子屋政談」
笑いどころはあんまりない噺だけど、なよなよした若旦那がぴったりはまっている。

品のいい二人のなめらか落語。楽しかった。この組み合わせはいいな。