りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

黒い豚の毛、白い豚の毛: 自選短篇集

 

黒い豚の毛、白い豚の毛: 自選短篇集

黒い豚の毛、白い豚の毛: 自選短篇集

 

 ★★★★

ヒラヒラと舞う雪花、冬の枯れ草の暖かい匂い、鉄の規律に縛られた軍隊生活、テーブルに刺さった赤い箸の十字架…。農村と軍隊と信仰をめぐる9つの短篇。ノーベル文学賞候補と目される作家が自ら選んだ傑作集。 

 「愉楽」「丁庄の夢―中国エイズ村奇談」と読んだが、長編とはまた違った味わいがあった。今まで読んだ長編はエキセントリックで激しいストーリーだったけれど、短篇はもう少し素朴というか淡々としている。

貧しさから脱却したい、家庭を築いて一人前になりたい、子どもや若者のそんな想いが胸を打つ。
軍隊や信仰について描いた作品も毒が効いていて面白い。

それにしても中国の女の人は強い。男に痰を吐きつける姿が印象に残っている。