りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

横浜にぎわい座寄

11/4(日)、横浜にぎわい座寄席に行ってきた。

・きよ彦「初天神
・鯉斗「転失気」
・丸山おさむ 形態模写
・錦平「阿武松
~仲入り~
・さん助「鮫講釈」
・うめ吉 俗曲
・伸治「らくだ」


錦平師匠「阿武松
落ち着いた口調で、いい!今までも何回か見たことがあるはずだけど?と自分のブログを検索したらタイトルだけで感想はなし。何度か見てるけどあんまり印象に残らなかったみたい?
テンポよく言葉も滑らかでとても聞きやすい。
時々入るくすぐりも噺の邪魔にならなくて好きだった。


さん助師匠「鮫講釈」
船が出ることを知らせる船頭の大きな声が伸びやかでとても良くて、おおおっこれはいいのでは?!と大きな期待感。
船を嫌がる江戸っ子とそれを無理やり乗せる兄貴分。この嫌がる方のキャラクター、好き好き。
兄貴分が船に乗ってる人たちに声をかけて自己紹介。相当かっこつけてるのが微笑ましい。
それをそっくりまねる弟分。そっくりまねるから、さっきかっこつけてた兄貴分が「はんぱもん」になってしまってるのが面白い。
それを聞いて船に乗っていた京都の人が話しかけてきて、なぞかけを。
この部分もわりとたっぷり。

そのうち船が動いてないということに気が付いて兄貴分が船頭に話しかけると「鮫が集まってきた。この中に鮫に見込まれた人がいるのでその人には海に飛び込んでもらって生贄になってもらわないといけない」。
見込まれたかどうかは物を投げて流れて行けば問題ないけど、沈んでいくとそれは見込まれた人。
ここで弟分がキセルを投げて沈むんだけどキセルじゃだめだよということで手拭を投げなおす。…なんかそれっていいの?とちょっともやもや…。

そしていろんな人が投げるんだけどどれも流れて行って最後に投げた講釈師の扇子が渦を巻いて落ちて行く。
この講釈師がえらい訛っている田舎者で、「海に飛び込む前に講釈を聞いていただきたい」と始めるんだけど、これがものすごい下手。そして下手な部分がちょっと激しく下手すぎて長すぎるので、最初は笑いが起きていたんだけどその後不穏な雰囲気に…。
一カ所だけ妙にうまいところがあってその時に「お!」となったので、もう少しうまい方の比率をあげたら面白くなるような気が…あるいは下手な部分をもう少し控えめな下手さにするか…。なんにしても、お客さんが不安になるほど下手を長くやっちゃいけないぜ。
出だしがよかっただけに残念であった(えらそうだな、おい)。不器用な人だなぁ…。でもキラっと光るところがたくさんあるからこれからやで(ますますえらそうだな、おい)。

 

伸治師匠「らくだ」
客席を見渡して「知った顔もありますね」とにっこり。この師匠の笑顔、ほんとに素敵。「癒される」って言葉、あんまり使いたくないけど、癒されるとしか言いようがない。人としてこんな風にありたいと思うけど、かなり遠いところにいるなぁ私…。

3回目かな、伸治師匠の「らくだ」は。
兄貴分が結構怖い。にらみを利かしてる感じ。
一方、屑屋さんは脅されて「行ってきまーす」と出て行って肩をすくめて振り向きながら「なんだ?あれは?…どうしてこうなった?くずーい、これだよ。これがいけなかったんだよ」。
前半屑屋さんの気の弱さが全面に出ているだけに、後半の立場の逆転がとても小気味いい。

あんなにびくびくしていた屑屋さんが徐々に目が座ってきて「自分ばっかりばくばく食ってんじゃねぇんだよ!」とすごんだり、「どこの家の釜の蓋が開かないって?」と怒鳴ったり、「今夜は帰らねぇぞ!」と宣言するのが、いいぞいいぞーー!ってなって、客席が一体になって応援する感じ。

楽しかった!

そしてこの記事素敵。
伸三さん、大好きなんだけど、雷太時代より伸三さんになってからの方が好きで、その理由がわかったような気がする。
移籍は衝撃的だったけど、そういうことだったのか。当時「なんか本人もわかってないみたい」とおっしゃっていた方がいたけど、ほんとに具体的には何も言われなかったんだね…。でも確かにすごい温情だなぁ。出した雷蔵師匠も素敵だし受け入れた伸治師匠も素敵。伸治師匠の笑顔が目に浮かんで涙…。