りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

林家きく麿独演会

6/14(木)、道楽亭で行われた「林家きく麿独演会」に行ってきた。
店に入ると椅子がぎっちり並べてある。ものすごいお客さんの数!

・きく麿「歯ンデレラ」
・きく麿「風俗レストラン」
~仲入り~
・きく麿「桃のパフェ」


きく麿師匠「歯ンデレラ」
今日の会は二席リクエストをいただいています。
その一つがせめ達磨でやった「風俗レストラン」。志ん五師匠の作った新作をみんなでやるという企画で、きく麿師匠が志ん五師匠から割り振られたのが「風俗レストラン」。
二人の会話で進む噺で自分にはやりにくかったので、自分流に変えてやろうと登場人物を一人増やしたりして噺を変えたんだけど、やってみたらグダグダになってしまった。
それでお客さん3人ぐらいから「あの噺、もう一度リベンジしてよ」と言われていたので、今日はそれを、と。
あと一席は「桃のパフェ」をリクエストされたのでやります。

それから仕事で鳥取に行った時の話や島根にある木久扇師匠の別荘に行った時の話。
きく麿師匠のまくらは、細部にきらっきらっとおかしさがちりばめられていてとっても楽しい。面白がるポイントが独自でそれが師匠が作る新作にもつながっている。
そして兄弟子の彦いち師匠の物まねが秀逸で大笑い。

そんなまくらから、ちょっとほのぼの系の噺をと「歯ンデレラ」。わはははは。これ、ほのぼの系なんだ?!

お嫁さんにあれこれ言いつけられてるお姑さん。
この二人の会話がすごくおかしい。
私、きく麿師匠の新作の導入部分がすごく好きなんだ。古典でいうとご隠居とはっつぁんの会話の最初の部分みたいな感じで、ちょっとテンション低めなんだけど、きらっきらっと面白い。
嫁と姑がちくちく言い合うんだけど、不思議と嫌な感じがしない。このお姑さんがなんかかわいいからかな。

またここに友だちのおばあさんが来てからの会話もおかしい。
「あらあなたなんか変わったわね。なにかしら。なんか口角が上がって。顔変えた?」
「やだ。いまさら顔なんか変えないわよ」
「でもなにかしら…なんか違うのよね…」

飛び道具のおちょぼ口が最高すぎる。
そしてこれ…高齢化社会におけるシンデレラストーリーなのかも。安定の楽しさ。そしてたしかにこれはほのぼの系なんだ!


きく麿師匠「風俗レストラン」
志ん五師匠でオリジナルを一度聞いたことがあって、実はその時に「わ、無理」と思ってそれ以来志ん五師匠の新作がちょっと苦手になってしまった。
だから、ええ?それをやるの???とちょっと不安を抱きつつ聞き始めたんだけど、これがすっごく面白かった!

多分、風俗のところがリアルだと笑えないのかな。なんか、はーっ、勝手にすればーって気持ちになっちゃって。引いてるつもりはないけどやっぱり引いちゃってるのかも。
そこの加減が絶妙だった。
あと、ノリノリで風俗風味を楽しむ男と、「でも結局ただの飯屋だかんね」と冷めてる男の対比。
この冷めてる方が、店員が彼に対してだけ「風俗風味」をやめることで、急になんかさみしくなる感じ。「おれにも風俗っぽくやってよ」と改めて頼むばかばかしさ。
そしてこの男が吹っ切れた状態になっての大団円。最後のセリフを大声で叫んだの、おかしかったー。

普段何も考えずに聞いて笑ってるけど、実は結構計算されているんだな、っていうところを見せてもらった感じ。打ち上げでそういう話を聞けたのも面白かったなぁ。


きく麿師匠「桃のパフェ」
仲入りのあと、出囃子が鳴ったかと思ったらそれを止めて「二番をお願いします」という師匠の声。
何かと思ったら、「昔の名前で出ています」のイントロが流れ、歌いながら師匠が登場。
ぶわはははは!!
歌いながら出てくる姿はどこをどう見ても演歌歌手だし、歌声がすごく似ててすごくまじで、でもなんかとぼけてて最高。
歌いながらスターっぽく握手して歩くのがまたおかしい。
歌い終わって高座に上がるのがまたおかしい。

それから、和助さんと「マトリックス2」を見に行ったときの話。
スリリングな場面で「うおっ」と頭をぴょこぴょこやって避けようとする和助さん。太神楽でも頭をぴょこぴょこ上手にやるから、きっとちゃんと避けられていたんだろうなぁと思うとおかしくてしょうがない。
楽しいなぁ。

「桃のパフェ」初めて聴く噺!
女が男にキレてる。
「なんであたしの桃を食べたの!!」
どうやら二人でパフェを食べに来たらしいのだが、男がメロンパフェ、女が桃のパフェを食べ、途中で男が「桃一つ食っていい?」と言って食べたことを、ものすごーく怒ってるのだ。

男が「悪かったよ」と謝っても全然怒りが収まらない女。
「謝るだけじゃなく、どこが悪かったか言って」とか「あとは?あとはどこが悪かったと思ってる?」と、しつこい。
それで男がもうわからないよと言うと、またキレる。

でももういつまでもこういうのやるのはやめよう。せっかく映画を見に来たんだからその話をしようということになり、「私、映画はわからないから、あなた何を見ようと思ってる?」と聞くと、男の方が答えるんだけど、それに対してまたキレる女。
そんな映画面白いわけないじゃない!そんなことわかるじゃん!この間だって見に行った映画が…から始まり、最終的にまた桃の怒りが再燃。

いやもうこの女あかーん!
と思うけど、自分にも思い当たる節があって、ひぇーーーっともなる。
相手が謝ってきても、どこにあたしが怒ってるか本当にわかってるの?って問いただしたくなる時があるんだよ。でもそんなことしたら相手を追い詰めるだけだし、嫌われるだけなんだよね。
不毛だって頭ではわかっているのに、どうしても問い詰めたくなる。それがいい結果につながることなんかないのに。
いたいっ。いたいわーー。でもなんか笑っちゃうー。

リクエストのあった噺が二席ともドSな噺だったので、それを緩和させるために、小林旭で出てきたということが打ち上げでわかり、それにも感動ー。
とっても楽しい道楽亭まーろ様の会だった。満足。

そして私はDVDとCDを買って、サインをいただいてしまった。わーい!

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