りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

小満ん夜会

6/13(水)、日本橋社会教育会館で行われた「小満ん夜会」に行ってきた。

・朝七「真田小僧
小満ん「髪結新三(上)」
・蝠丸「小夜衣草紙」
~仲入り~
小満ん「髪結新三(下)」

朝七さん「真田小僧
出た。やたらと色っぽいおまいさん。もとい、前座さん。
そんなにいやらしくやるわけじゃないし、そんなに独自のギャグを入れてるわけじゃないのにちゃんと面白い。
リズムと抑揚がいいなぁ。前座でこんなってことはニツ目になったらどんなふうになるんだろう。楽しみ。


小満ん師匠「髪結新三」
「髪結新三」といえば、らくご街道雲助で聞いたことがある!
まだ落語を聴き始めた頃、毎月通ってたなぁ…。続けて買うと同じ席にしてもらえるのが嬉しくて。
あの頃はまだ手厚かったなぁ…いたちやさん。

あの時は話を知らないで聞いていたけれど、今回はどうなるかわかってるのでそのつもりで聞ける。
やっぱりこういう噺は何回か聞いた方が面白い。初めてだと筋を追うだけで精いっぱいになっちゃうから。

それにしてもこれも変な噺だよなぁ。どう楽しむべきなのかな。
新三の悪ぶりを楽しむ?でもお嬢さんをかどわかして縄で縛って押し入れに閉じ込めるなんて…許せないよなぁ。
後半に出てくる大家はちょっと面白いキャラクターだな。蛇の道は蛇っていうか。新三の上を行く悪っぷりは爽快。やっぱりここを楽しむ噺なのかな。

小説なんかだと登場人物誰にも共感できなくても楽しめるんだけど、落語はそうはいかないのか。
でもそれも描きようっていう気もするな。別に必ず共感できなきゃいけないっていうもんでもないと思うし。
なんてことを思いながら見ていた。


蝠丸師匠「小夜衣草紙」
小満ん師匠の会のゲストに蝠丸師匠って素敵すぎる!

私も「柳家」なのでよく小さん師匠の弟子かと聞かれることがあるんですが違います。私は協会も違いますからね。小さん師匠や小満ん師匠は落語協会。私が所属しているのは落語芸術協会。ちゃんとした落語をやらないほうの協会です。
落語の途中でツイスト踊ったりね。キンキラキンの着物着て「文七元結」やったりね。
私の師匠は先代の桂文治です。目ん玉がこんなに大きくてね、そのかわり背は一メートル3センチぐらいですかね。小さくて。

今日私がやることになってる噺は「小夜衣草紙」と言いまして、それはもう嫌な噺なんですね。陰惨でね、気分が悪くなるようなね。
私、違う噺をやりたかったんですよ。でも主催の石井さんがこの噺をしてくださいって。
どうやらこの会は、やる側に自由はないらしいんです。だから聞き終わって何か文句があったら私じゃなく石井さんにお願いします。

…おおお、そうだったのか。わははは。

そして、この噺は速記本の通りにやると3時間はかかるような長い噺なんですけど、今日は特別サービスで30分でお届けします。

そんなまくらから「小夜衣草紙」。
美男だが遊びを知らない若旦那が友だちに連れられて吉原へ。そこで相方になった遊女の小夜衣がこれまたたいそう美しくまた清楚な女。二人はたちまち恋に落ち、起請を交わす。
しかしそれから何年か経って、若旦那がいい家柄の娘に一目ぼれする。娘の方も若旦那に一目ぼれ。家柄も釣り合うということでとんとん拍子に話が進み結婚が決まる。
祝言が近くなって若旦那が父親に「実は起請を交わした女がいる」と打ち明ける。そんなことが先方の耳に入ったら大騒ぎになると、大旦那は二人の番頭に三百両を持たせ店に向かわせる。これで起請を返してもらえと言うのである。
店のやり手ばばあが間に入り(二百両はこのばばあが横領)、小夜衣は泣く泣く起請を返す。

二人の番頭のうち六兵衛は酒を飲み、下戸の久兵衛はお茶にお菓子。久兵衛がはばかりに行きたくなり二階へ上がるとそこにいたのが小夜衣。「話があるからこちらへ」と言う。
そこで小夜衣に「若旦那は女に惚れて結婚するのか、あるいは店のために泣く泣く結婚するのか」と尋ねられた久兵衛。気が利かない、女心が分からない男なので正直に言ってしまう。
それを聞いた小夜衣は顔色を変え持っていた剃刀で喉を掻き切る。しかしそれで死にきれず、今度は頭を柱に何度も何度も打ち付ける。そのため小夜衣の額からは血が流れ、目玉が飛び出し…恐ろしい形相になる。
腰を抜かした久兵衛が部屋に戻り、店の主人や六兵衛と二階へ上がってみると、小夜衣は絶命していた。

番頭二人は駕籠に乗り帰ろうとするが、そこに現れたのが小夜衣の幽霊。ざんばら髪に額から流血、目は飛び出している。
これでは前に進めないと、また店へもどり泊まるのだが、夜中はばかりに行くとそこにまた小夜衣の幽霊が…。

…蝠丸師匠の穏やかな口調で、さらにあれこれ笑いも散りばめて、軽~く軽く話しているんだけど、やっぱり怖い…かなりのスプラッタ…。

そして蝠丸師匠って普段芸協の寄席で見るときはそんなに芸協~っていうかほりのしない師匠だと思ってたけど、こうして見るとやっぱり芸協~って感じ。自由っていうか緩いっていうか。

帰る時、師匠方が出てきていて、お客さんに写真を撮られたりしていたのだが、通り過ぎるときに立ち止まって見てると蝠丸師匠が私に気づいて「あ!ありがとうございます」とにっこり。
わーーーー覚えてくださっているんだーーーとめちゃくちゃときめいた(笑)。