りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

柳家小三治一門会シアター1010 

6/16(木)、シアター1010で行われた柳家小三治一門会に行ってきた。
一年のうち何回も小三治一門会というのはあって、一門会と言いながらもお弟子さんはテッパンネタで軽く流す感じでやっぱり小三治師匠の会だなぁという印象しかなかったんだけど、今回は真打が二名出て力のこもった高座で満足感があった。
〆治師匠も一琴師匠も正直そんなに好きな師匠じゃなくて目当てに会に行くようなこともなかったけれど、こうしてちゃんと聴けてすごくよかった。

・小かじ「狸札」
・〆治「阿武松
~仲入り~
・一琴「夢八」
小三治「青菜」

小かじさん「狸札」
ちょっとやりなれてないのかなという感じで危ういところがあったけれど、以前に比べると明るくなって面白みが出てきている。二ツ目間近!

〆治師匠「阿武松
なんか陰気で声も聞き取りづらくて苦手な師匠だったんだけど、すごくよかった!びっくりした。
淡々とした中になんともいえないおかしさがあって、ちょっとやりすぎ?と思うぐらいのくすぐりもあったりして、とても楽しい。
親方には威厳があるし、宿屋の主人の優しさも出ていて、とても楽しい「阿武松」だった。

一琴師匠「夢八」
前にも一琴師匠で聞いたことがあったんだけど、すごく面白い。
首つりの噺で決して気持ちがいい噺じゃないから「なんでこんな噺を」と思った人も中にはいたかもしれないけれど、こういうことさえも笑い飛ばしてしまう落語の世界が私はとっても好きだ。
「つり」の番をする男の能天気さが、真相がわかって怖がり始めてからも続いていて最後まで大笑いだった。

小三治師匠「青菜」
前にあがった一琴師匠のことを「あれの噺もなんか…形になってきました…というかとても面白かったですね。あいつは近いうち私を抜きますね」と小三治師匠。小三治師匠に褒められたらうれしいだろうなぁ…。
一門会ということで、〆治師匠が入門した時の話や小さん師匠のところに弟子入りしたころの噺や江戸っ子の話や先日ふと思い立って師匠のお宅に伺った話など。
師匠のお宅に電話したら娘さんがいて「今からお線香をあげにいきたい」と言ったら「いいわよ。あたし今お風呂に入っててもうすぐ出るから」と言われた。そのタイミングで行っていいんだろうか?普通だったらよくなさそうだけど、あちらもかなりのお年だから…いいか、もう。(わはは)

それから舛添さんの話になり、名前が出てこなかったのかわざとか「巻き添えさん」と呼び続けていたのがすごくおかしかったなぁ。
馬鹿じゃないかと思ったけどすごく頭がいいんですね。ああいうことをするのはてっきりバカなのかと思った。だからみなさん自分の子どもを東大に行かせようなんて無謀なことを考えちゃダメ。泣いたり血流したりして入ったってろくなことにならない。には笑った。

そんな長いまくらから「青菜」。これが板橋の時とは打って変わってキレキレ。やっぱり小三治師匠は長いまくらをやってからの方がエンジンがかかっていい感じ。だから、なんちゃら名人会とかで決まった時間できっちりやるのはあんまり…なんだよねぇ。
そういう意味では寄席のトリも持ち時間が短いからこんな風な高座にはなかなか当たれない。
ただ寄席は客席の雰囲気やそれまでの流れですごくいい空気になるときがあって、奇跡のような高座にめぐりあえることもあるからなぁ。下席の末廣亭はまた通うぞー。

板橋の時は徳利の中にどんだけ酒が入ってるんだ?と思うぐらい飲んだり食ったりの場面が長かったんだけど、今回はそんなことはなくコンパクト。それでも旦那にごちそうになって嬉しい植木屋さんの気持ちが存分に伝わってくる。
うきうき帰ってきた植木屋さんに「何踊りながら帰ってきてんだい。いわしが冷めちゃうよ」のおかみさん。いつ見ても小三治師匠の「おかみさん」は決して激しくやるわけじゃないのに「恐妻」感が出ていておかしい。

戸惑う半公を軽くいなしながらにこにこ「旦那」をやる植木屋さんが最後までかわいい「青菜」だった。