りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第三百九十九回 日本演芸若手研精会 霜月公演

11/10(月)、日本橋劇場で行われた「第三百九十九回 日本演芸若手研精会 霜月公演」に行ってきた。

・市助「弥次郎」
・志ん吉「東北弁金明竹
・昇々「千早ふる」
・こみち「一眼国」
〜仲入り〜
・夢吉「手紙は笑ふ」
・遊一「片棒」

市助さん「弥次郎」
北海道、山賊、猪は何度も聞いていたけれど、女に迫られて水瓶に隠れるというのは初めて聞いた。
ホラ吹きの噺は楽しいなぁ。

志ん吉さん「東北弁金明竹
初めて見た志ん吉さん。ぱきーんっとはっきりした顔は一度見たら忘れない。
おお、これはもしかすると小袁治師匠がやられるという「東北弁金明竹」!
もんじゃもんじゃと言ってるように聞こえるのがおかしくて大笑い。

昇々さん「千早ふる」
昇々さんのハイテンションが研精会のお客さんと噛み合ってないのが私的には妙にツボで、落語で笑ってお客さんが笑わないのにまた笑って。
俺は落語に詳しいぞおじさんって簡単には笑わないぞって決めているのかな。ご贔屓さんには笑うけどそうじゃない新作っぽい落語は認めないぞって感じ。

こみちさん「一眼国」
遊一さん、夢吉さんの真打昇進が決まっているので、二人が卒業してしまうと自分が一番上になってしまう。自分は会が終わるととっとと帰らないといけないのでなかなか飲みにも行けないしおごってあげたりもしないので後輩たちに全然尊敬されていない。それで自分が一番上になっちゃうのはしんどい。という思いを吐露。
上の人がいるうちに冒険しちゃいますよ、ひどいかもしれないですよ、でも会費が千円だから(許してね)、と言いながら、見世物小屋のまくらへ。
おお、もしや「一眼国」?と思ったらそうだった。

小三治師匠の「一眼国」は見世物小屋の主人に一眼国のことを教える巡礼の人が悪意があるようなないようなちょっと不気味な雰囲気があるけれど、こみちさんの「一眼国」はそういう不気味な感じはあまりなく、知っているから教えてくれた、という感じ。
あの不気味さを出すには熟練の技が必要なのか?解釈の違いなのか。
でもご本人がおっしゃるような酷いものでは全然なくて面白かった。

夢吉さん「手紙は笑ふ」
ここで真打の報告をちゃんとしようと思って黒紋付を着てきたのに、こみちさんに先に言われてしまうという…しかも「卒業する」というもやっとした言い方で、あれだと昇進じゃなくてクビ?とも聞こえるし、と笑わせる。
照れ屋の夢吉さんは結局ここでも発表して拍手をもらうという流れを避けたなー。心の底からおめでとうって思ってるよ!と客席でひっそり思う。

芸協には芸協でしかしない噺というのがありまして、たいていはされないだけのことはあるなというガラクタな噺でそのまま消えていってしまうんですが、私はそういう噺が大好物でして。と言って始まったのが、なるほど確かに聞いたことがない噺。

恋人に恋文を書きたいんだけどうまく書けないのでかわりに書いてくれと友だちを訪ねる男。
頼まれた方は書いてやるよと言いながら、そのかわり俺がオヤジに借金を申込みたいのでその手紙はお前が書いてくれ。
よしわかった引き受けた!と互いに文面を考えて手紙を書く、という噺。
ひたすらバカバカしくてゲラゲラ笑い、終わってみるとどういう噺だったか全然覚えていないという。ある意味至福。
こういう噺をたくさん持っている夢吉さん。ほんとに素敵。

遊一さん「片棒」
トリは遊一さん。「片棒」ってなんとなく熟練の師匠がやる噺というイメージなんだけど、遊一さんの「片棒」、とても楽しかった!
次男のやたらと威勢のいい葬式。オヤジのカラクリ人形も神輿もお囃子も賑やかで楽しくて大笑いだった。