りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第4回 浅六寄席〈落語協会サーフィン部〉

11/8(土)、Thought FACTORYで行われた「第4回 浅六寄席〈落語協会サーフィン部〉」に行ってきた。
Thought FACTORY、ものすごくおしゃれなお店でびっくり。会が始まる前には席亭さんから挨拶があったりして手作りの温かい会だなぁという印象。すてきだ。

・古今亭菊生「掛取り」
・三遊亭美るく「女版棒鱈」
〜仲入〜
・春風亭一左「竹の水仙

菊生師匠「掛取り」
通常であれば真打がトリをとるのですが、今回は一左に「(トリを)どうする?」と聞いてみた。 この世界で先輩から「どうする?」と聞かれればそれは「やれ」と言われてるのと同じこと。絶対にNOとは言えない。
とはいえ、これは「落語協会サーフィン部」なので、それほどぎっちぎちな会ではないし、長い付き合いなので「いや無理です」と断ることもできる。
でも一左は今すごくやる気があって一生懸命なので「やります」と返事があった、と。
で、自分が二番目に出ても良かったんだけど、忙しい美るくさんがに会場に着いてまだ息があがっていたので、「じゃ俺が開口一番やろうか?」と聞いて断るだろうと思ったら「じゃお願いします」と言われたので、自分が開口一番で出てきた、と。

そんなまくらから「掛取り」。開口一番と言いながらしっかり大ネタ。
初めて見た菊生師匠。ゆったりとして語り口が心地いい。
大晦日で忙しい最中家賃の取り立てに来て、八に大好きな狂歌で貧乏をこれでもかと並べられて心地よくなって「じゃあ3月でいいや」と帰っていく大家さん。
そのあとも義太夫、喧嘩とたっぷり。
押し入れに隠れていた女房が旦那を見直してどんどん楽しくなっていくようすが楽しい。

美るくさん「女版棒鱈」
千葉出身の美るくさん。千葉っていうとわりと都会と思われがちですけどそうでもないんです、と言って「女版棒鱈」。
就職が決まったので今まで先輩にはお世話になったのでお礼をしたいとやってきた後輩の女の子。 二人でホストクラブに行くことに。
そこで「シンデレラコース」という一番チープなコースを注文し、ホストにきゃーきゃー言ってると、ホストがみな一人のおばさんのところに集まって行ってしまう。
どうやらこの店のVIPらしいのだが、このおばさんが酔っ払ってものすごいなまりで千葉の特産品を言ったり、ご当地菜の花体操をし始めたり…。
もうこの菜の花体操の破壊力がすごくて客席は大爆笑だった。

一左さん「竹の水仙
真打をさしおいてトリというのも普通では考えられないことですけど、真打が座布団をひっくり返すっていうのもすごいです。めったに見られない光景で面白かったです、と。
トリでなにをやるのかなと思っていたらなんと「竹の水仙」。これがすごく良かったのだ。もうびっくりした。
時間が押していたので宿屋の主人が客を呼び止めるところはなくて、主人におかみさんが「あのお客怪しいからいくらかでも金をもらってこい」と迫っているところから。
宿屋の主人がいかにも人が良さそうでなんともかわいい。それに反しておかみさんが口うるさくて憎々しい。その対比が見事で「おおっ」と感動。
主人が客のところに訪ねて行って、酒代が足りなくなったのでここまでの分をお支払い願いたいと言いにくそうに言うと、その金額を聞いて「安い。これで儲けは出るのか」とお客。その会話を何度も繰り返し、そこから一文無しとわかってがっかりする主人の動揺ぶりが面白い。
また一文無しと分かってからは、2階の客室を開けるときは足で開ける主人。それを部屋を訪ねるたびにやるのでその度におかしくて笑ってしまう。

竹の水仙を見たお殿様に買うように言いつけられて宿屋を訪ねた家来と宿屋の主人の会話がまた面白い。
家来がお屋敷に戻って殿様に「2百両と言うので高すぎると帰ってきた」と告げて殿様に怒られて血相を変えて宿屋に戻るところ、怒って帰った家来がしばらくすれば血相変えて走って戻ってくるよという客、それを目の当たりにする主人。
人物がそれぞれ生き生きとしていてすごく良かった!
笑いどころがそれほどある噺じゃないけれど、繰り返しや宿屋の主人のおっちょこちょいで息が抜けるので結構笑えてとても楽しくて、お客さんもすごくよく笑っていてとてもいい雰囲気だった。