りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

佐渡の三人

佐渡の三人

佐渡の三人

★★★★★

物書きの「私」は、ひきこもりの弟、古道具屋の父とともに佐渡への旅に出る。目的は、祖父母の隣家に住む「おばちゃん」の骨を、郷里の墓に納骨すること。ところが、骨壷をユニクロの袋に入れて運ぶくらい儀礼にかまわぬ一族のこと、旅は最初から迷走気味で・・・。表題作「佐渡の三人」に始まり、「戒名」「スリーナインで大往生」「旅人」と、一族の佐渡への「納骨」の旅を描く連作長編小説。

良かった。家族や親戚の、踏み込まないけど面白がる絶妙の距離感が心地よい。
意味のあることはなにも言って無さそうなのに時々ううむと唸りたくなるような深い言葉があって、長嶋有たまんねぇ!と思う。

不謹慎すれすれで「ウケる」を最優先する家族。変だけど家族ってどこもみんな変なんだよな、と思う。 何となくいつも近くにいたけどどういう人なのか実はよくわかってない親戚のおじさん。
なんかいいなーと思いながら読んだ。
人が死んだときの空気を見事に表現している。

ちょっと前までは不穏な物語が好きだったけど、最近はこういうゆるっとした物語のほうが好きになってきた。
年のせいなのか時代のせいなのか。
人間はこんなにも残酷になれるとか、そういうの、もう見たくない。