瀧川鯉昇・春風亭一之輔『弾けるふたり』PART2
8/29(木)、新宿文化センター小ホールで行われた「瀧川鯉昇・春風亭一之輔『弾けるふたり』PART2」に行ってきた。
・鯉ん『転失気』
・鯉昇『ちりとてちん』
・一之輔『粗忽の釘』
〜仲入り〜
・一之輔『千両みかん』
・鯉昇『死ぬなら今』
鯉昇師匠「ちりとてちん」。
鯉昇師匠、「この会が弾けるふたりってタイトルですけど、適当に付けましたねー。一之輔さんは確かに弾けてるかもしれませんが、私はこの通りですから弾けてなんかいませんから。楽屋ではじかれてるぐらいなもんで」。
鯉昇師匠が生まれ育ったのは浜松。夏になると家族で海水浴に行ったけれど、鯉昇師匠の家で海水浴といったら砂浜で貝をとることを指していた。
ランニングに短パン、大きな帽子をかぶって、手にはざるとスコップを持ち、一日中砂を掘って貝をとる。
「こどもがバカみたいにとったものでおすそ分けです〜もらってください」とお隣さんに持っていくという、その見栄のためだけに、家族全員必死にほる。
東京に出てきて噺家仲間で海水浴に行って、「え?貝ほらないの?お、泳ぐの?」と驚いた。
そして人はお世辞に弱いというまくらから「ちりとてちん」。
お世辞のうまい竹さんの非現実的なヨイショが鯉昇師匠らしくて最高だ。
「え?これがなだの酒ですか?いやぁわたくしそういうものがあるとは聞いたことはあったのですが現実に存在するものだとは。はぁ、これがなだの酒。」
「え?これが鯛の刺身ですか?いやぁわたくしそういう魚がいるとは聞いたことはあったのですが…」
「え?これがおまんま?白米ですか?いやぁわたくしそういうものがあると聞いたことはあったのですが…」
繰り返しの面白さをこれでもかと見せられた。
また一方憎まれ口ばかりたたく寅さん。
「え?なだの酒?にせもんだろ、どうせ。水で薄めてあるんだよ」
「鯛?ほかにもうまい魚はいくらでもいるのに鯛かい。味がしねぇなぁ、こりゃ」
「うなぎ?養殖だろ、どうせ。養殖もんは根性が曲がってていけないや」
腐った豆腐の酷いにおいがにおってきそうなぐらいの強烈さで、大爆笑だった。
一之輔師匠「粗忽の釘」
「二人会なんておこがましいんですけど」と言う一之輔師匠。
「あんな顔をされてますけど、もうほんとに他には見ないぐらい優しい師匠で。楽屋にいてももうほんとに居心地がよくてここにずーっといたいなぁっていうぐらいなんですよ。うちの協会には顔が優しげなのにおっかない師匠がたくさんいますから。全然違いますな」。
一之輔師匠の「粗忽の釘」は初めて聞いたのだが、もうほんとにこれを笑わずにいられようか!という爆笑に次ぐ爆笑だった。
おかみさんとのなれそめをのろける場面で、二人で暑い夏の日に行水をして桶が壊れてふぇ〜ふぇ〜って…。
もう腹の皮がよじれるぐらい笑った。楽しい。
一之輔師匠「千両みかん」。
主殺しをした者がどんな刑にあうかを嬉々として話す八百屋の主人がおかしい。
「わたしはああいうのは嫌いなんですけど女房が好きでねぇ」。
こまかなところに一之輔師匠テイストがちりばめられていて楽しい。
鯉昇師匠「死ぬなら今」
これは以前国立演芸場で見たことがあるが、じんわりとおかしくて好きな噺だ。
前半の爆笑とはまた違って味があってよかった。
タイプは全然違うけれど、とてもいい組合せ。第三弾もぜひ行きたい。