りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

眠れるラプンツェル

眠れるラプンツェル (幻冬舎文庫)

眠れるラプンツェル (幻冬舎文庫)

★★★★
主人公はもとモデル。自分が出演したCMのディレクターだった男と結婚して、何不自由なく暮らしている。
夫は多忙で家に帰ってこない。
しかし彼女はそんな退屈にそれほど不満も寂しさも感じていないような様子で、パチンコをしたり昼寝をしたりして暮らしている。

しかし隣に住む中学生の男の子ルフォイが家をたびたび訪れるようになり、彼女は見て見ぬふりをしてきた、自分のパンドラの箱をあけることになる、、。

15歳も下の男の子を本気で好きになってしまった彼女のせつなさ、かっこわるさ、居心地の悪さがとてもリアルで、読んでいてとても痛い。

読み進めていくうちに、彼女の底知れぬ孤独や闇が明らかになっていって、ぞくっとしてしまう。
それは決してひとごとではなく、だから余計にちょっといやな気分になってしまうのかもしれない。

ルフォイとの別れのシーンには、不覚にも涙が出てしまった。
そして、彼らが語った夢物語を少しだけ信じてみたいような気持ちになっていた。