麦の海に沈む果実

麦の海に沈む果実 (講談社文庫)

★★★★★
世間から隔絶された、全寮制の学園に２月に転入してきた理恵。
そこは両性具有のような校長が支配する王国であった。
次々消えてゆく生徒は、誰に殺されたのか。
学園には何が隠されているのか。

ホラーなのかミステリーなのか、この独特の雰囲気、繊細と恐怖の交錯は、恩田陸の得意とするところなのだろう。
ありえないようなシチュエーションなのだが、どんどん世界に引き込まれていく。そして胸がざわざわする。

ラストのどんでんがえしにも驚かされたが、全体の雰囲気やそれぞれのエピソードは、いつまでもはっきりとした絵になって記憶に残るような予感がする。

もっともっと恩田ワールドに浸ってみたい。