りつこの読書と落語メモ

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SMALL GREAT THINGS :小さくても偉大なこと

 

([ひ]4-1)SMALL GREAT THINGS 上: 小さくても偉大なこと (ポプラ文庫)

([ひ]4-1)SMALL GREAT THINGS 上: 小さくても偉大なこと (ポプラ文庫)

 
([ひ]4-2)SMALL GREAT THINGS 下: 小さくても偉大なこと (ポプラ文庫)

([ひ]4-2)SMALL GREAT THINGS 下: 小さくても偉大なこと (ポプラ文庫)

 

 ★★★★★

「ジョディ・ピコーの最高傑作だ。読者は問いを突きつけられ……人種と偏見をめぐる文化的認識の幅を広げられるだろう」(ワシントン・ポスト紙)
「ある冤罪」を着せられて生活が一変した看護師のルースは、若手弁護士のケネディと立ち向かうが、彼女は大きな「嘘」を隠していた――。 

 久しぶりのジョディ・ピコー。
一時期出版されれば必ず読んでいた時期があったが、久しぶりの出版?懐かしい!という気持ちで手に取ったけど、かなり重い内容だった。

ルースは13年間同じ病院に勤めるベテランの看護師。受け持ったターク夫妻の乳児に触れるなと上司から言われ何事かと思えば、ターク夫妻は白人至上主義者で黒人に自分たちの赤ん坊に触れてほしくない、というのである。

怒りに駆られるルースだが、次の日赤ん坊の容体が急変し、彼女がその場にいたことから、殺人の容疑で逮捕されてしまう。

彼女の公費選定弁護人を買って出たのが、若手弁護士のケネディ。彼女はルースに寄り添い彼女の無罪を勝ち取るために自分の今までのキャリアや経験を懸けて弁護にあたろうとするのだが、ルースはなかなか彼女に心を許そうとしてくれず、二人の距離はなかなか縮まらない…。

白人の作家が人種問題を描くことはとても難しいことなのだろうと思う。反発も避けられないし、立場の違いはいかんともしがたいものがある。
それに真っ向から挑む作者の姿とルースの弁護人を買って出たケネディとが重なって見える。

自分は肌の色で差別をしたりはしない、レイシズムとは無縁だと言い切っていたケネディが、ルースの裁判を通して、白人である自分たちの受けてきた優位性に気づき、自分の中にもレイシズムがあることを認める場面には鳥肌がたった。私自身、ヘイトには嫌悪感しかないが、そんな自分もレイシズムとは無関係ではないのだ。
「無知もまた特権」という言葉は重い。

ストーリー的にはこの作者らしい無理な展開もあったけど(笑)、とにかく力のある凄い作品だった。