りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第10回 夏丸谷中慕情

7/5(金)、coffee chi_zu2号店で行われた「第10回 夏丸谷中慕情」に行ってきた。


・夏丸「反魂香」
・夏丸「英会話」

~仲入り~
・夏丸「富士詣り」


夏丸師匠「反魂香」
ネタ出ししていた「反魂香」。これは先代の可楽師匠が得意にしていた噺で、当代の可楽師匠も持っていて…ほかにこれをやられる噺家さんはほとんどいないんじゃないか。
当代の可楽師匠、目が不自由なので昼席にしか出ないのだが、ある時珍しく浅草の夜席に出られていた。ちょうど時間も19時過ぎ。浅草だとお客さんが少し減る時間帯。いつもは「イスラム小噺」をやって下がる師匠がこの日は珍しく「反魂香」。先代の雰囲気そのままに外や客席の雰囲気ともマッチしてぞくぞくするような高座。うわ、これは教わりたい!と思ってお願いして稽古をつけていただいた。
浅草の高座では途中で師匠つまっちゃって「珍しいことはするもんじゃない」と嘆いて最後はいつものイスラム小噺で降りて行ったので、稽古の時もイスラム小噺に変わったらどうしようと思ったけど、最後まで教えていただけた。

…素敵な話。
そういえば私もこの噺一度だけ聞いたことがあったけど誰だったっけと調べたら可風師匠だった。可楽師匠のお弟子さん。
そして、夏丸師匠って普段は何考えてるかわからない…ふわっとした感じだけど、やっぱり落語が好きな噺家さんなんだなぁ、と思った。
だから珍しい噺をたくさん持っているんだな。
そして私はそういう噺家さんが好きなんだ。

「反魂香」、隣の坊主が反魂香を焚きながらお経を唱える場面は芝居がかっていて不気味。
それを見て「俺もやりたい!俺の女房も3年前に風邪をこじらせて亡くなってるから会いたい!その薬くれ!」と頼む隣の男。分けてくれないのでぷんすか!怒って、薬屋に買いに行って「反魂香」の名前が出てこなくて、「ほらあれだよあれ!これをくべて焚くと女が出てくるやつ!ほら!」。
なんですかあなた、店に飛び込んできてわけのわからないことを言って、目を血走らせて。
それから一つずつ看板の薬の名前を読み上げて「反魂丹(腹痛の薬)…それだ!」。
帰ってきて焚いても焚いても出てこないので量が少ないのかとどんどんくべるばかばかしさ。

すごく楽しかった。そしてこういう噺を気負いなくふわっとするところがすごくかっこいい。


夏丸師匠「英会話」
こういう昭和なしょうもない噺をほんとに楽しそうにするよね~(笑)。
またこの昭和風味が合ってるんだなぁ、夏丸師匠に。

毎日自分たちの嘘英語で喋っていて、結構流ちょうになってるばかばかしさ。
めちゃくちゃはじけた高座で生き生きしてる夏丸師匠がおかしかった。


夏丸師匠「富士詣り」
これもそんなによく聴く噺じゃないけど、楽しい~。「大山詣り」よりこっちの方が断然好きだなぁ。
山の神様がお怒りになってると聞いて次々自分の罪を告白する男たち。くだらなくておかしい~。
邪淫戒を破ったという男の話のおかしさったら。
湯屋を出たら、ほぼ同時に女湯から出てきた女がいて、それが前から好きだったおかみさん」
「お前、人のかみさんを好きになるなよ」
「だって人のかみさんっていうだけだよ。好きになったっていいじゃねぇか」
こんなやりとりも憎めなくておかしい。

3席全部楽しくてよかった~。

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