りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

飛族

 

飛族

飛族

 

 ★★★★★

かつて漁業で栄えた養生島に、女がふたりだけで暮らしている。母親のイオさんは、九十二歳。海女友達のソメ子さんも、八十八歳。六十五歳のウミ子が、ふたりを見ている。 

国境沿いの島に住む二人の老女イオとソメ子。92歳になるイオを本土に連れて帰るつもりで娘のウミ子が訪ねてくるのだが、二人の老女の絆は強く、そして島への愛着は深い。

漁で死んだ男たちは鳥に生まれ変わったと信じ、飛ぶことを夢見て鳥踊りをする二人。台風は直撃するし店も物もないし密漁船は来るし、老人だけで住むには心配すぎる環境だけど、老女たちは海や魚や鳥と解け合うように暮らしている。

祈りとともにある暮らし。したたかさも感じさせる老人がチャーミングで楽しかった。
そして鳥踊りをする二人の老女の姿が目に焼き付いている。

「エリザベスの友達」がとてもよかったので読んでみたのだけれど、これもとても面白かった。
ほかの作品も読んでいこうと思う。