りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

マグノリアの眠り

マグノリアの眠り

マグノリアの眠り

★★★

高齢のヴィルヘルミーネを介護するために、ロシアからドイツにやってきた二十三歳のイェリザヴェータ。二人の人生には、第二次世界大戦の「爪痕」が生々しく遺されていた。ある日、一本の電話をきっかけに、その戦争の記憶がうごめきだす―。過去と現在を往還する、息詰まる心理劇。

91歳で寝たきりになってしまったヴィルヘルミーネは第二次世界大戦を生き抜いたドイツ人女性。そこへ、ロシア人の若い介護人イェリザヴェータがやってくる。よく気がつくイェリザヴェータのことを最初は気に入っていたヴィルヘルミーネだったが、彼女がロシア人であることがわかった瞬間に態度を急変させる。蘇る辛い記憶と混乱する思考、身動きできず誰にも相談できない状況がヴィルヘルミーネを追い詰めていく。
また、イェリザヴェータもドイツ人に陵辱された祖母の恨みを聞かされて育っており、ヴィルヘルミーネから投げつけられる暴言に対して暴力で彼女自身の憂さを晴らすようになる…。

内容云々よりも登場人物の感情表現があまりにも乱暴なのが読んでいて嫌だった。こんな介護人は嫌だー。彼女には彼女の背景があったとはいえ相手は身動きできない老人なのに…どうしてもそこが受け入れられなかった。

戦争は本当にいやだ。おそろしい。
敵国の蛮行をこれでもかと宣伝するけれど、どちらかが一方的に加害者、被害者なんてことはいえない。
暴力がまかり通る世界は嫌だとつくづく思った。