りつこの読書と落語メモ

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国立演芸場7月上席

7/7(土)、国立演芸場7月上席に行ってきた。
(一度書いたんだけどアップできてなくて書き直し…悲しみ…)

・桜子「繁蔵出世」
・歌蔵「代書屋」
・コント青年団 コント
・楽輔「ちりとてちん
米丸 漫談
~仲入り~
・真打昇進披露口上(歌蔵、文治、夏丸、幸丸、楽輔、米丸
・文治「鈴ヶ森」
・幸丸「昭和30年代の歌」
ボンボンブラザーズ 曲芸
・夏丸「いが栗」、歌謡ショー「憧れのハワイ航路」

 

歌蔵師匠「代書屋」
師匠と弟子というのはとても濃密な関係なのでなにかこう一言で言えるようなものではなく、まだ気持ちの整理も全然できていないです、と歌蔵師匠。
私は肩もみがとてもうまくて、肩もみで入門を許されたようなところがありまして。だから師匠は私を見るともう条件反射的に「おい」と肩を差し出してきて、私もそのたびに師匠の肩をもんできました。それはもう、ボス猿が子分に毛づくろいさせるようなもんです。主従関係を確認するみたいな。
でも歌丸の具合がぐっと悪くなってからは肩をもむこともできなくなってそれが心残りですね。
お見舞いも弟子はもうあんまり来ないでほしいっておかみさんから言われてました。というのは我々が行くと師匠が病院から禁止されている食べ物なんかを買って来いっていうんです。弟子は断れませんから。
亡くなる3日ほど前だったか、お見舞いに行ったらちょうど看護師さんが病室から出て行ったところで、師匠がなんか喋りたそうにしてるんです。それで酸素マスクをはずしたら「はげ…はげ…」って言ってる。「え?今の看護師が師匠の事をハゲって言ったんですか?なんて失礼な!」。私文句を言いに行ったんです。そうしたら看護師さんはそんなこと言ってないって言う。でも師匠がそう言ってます、としばらく押し問答。病室に戻って師匠に伝えると、師匠が違う違うっていうそぶり。もう一度聞いてみたら「ハーゲンダッツ、買って来い」。

…気持ちの整理がついてなくてと言いながらとりとめもなく話していたけど、なんか素敵だった。師匠と弟子っていうのはほんとに濃密できれいごとだけじゃすまないようなこともたくさんあるんだろうけど、でもやっぱりいいな、と思ったのだった。

そんなまくらから「代書屋」。私この噺ほんとに嫌いなんだけど、面白かった。男の名前が「川端康成」なのにも笑った。毒が少な目でふわっとした優しい「代書屋」。よかった。
以前この師匠の「熊の皮」聞いて好きだなと思っていたんだけど、今回の高座を見てますます好きになった。お江戸日本橋亭の会、行ってみよう。


楽輔師匠「ちりとてちん
最初から最後まで笑い通し、楽しかった。この師匠にめちゃくちゃ合ってる、この噺!
お世辞のいい男も旦那も両方軽くて明るくて会話が軽妙で楽しい。
旦那が腐った豆腐に一味をかけるところ。一味が出てこなくてなんどもトントンやったりのぞきこんだり…パントマイムのおかしさ。
エラそうなとらさんが食べて悶絶するところも面白くて、ほんとに楽しかった。


米丸師匠 漫談
今日は孫弟子の夏丸さんの披露目だから何を話そうかずっと考えていてなかなか寝付けなかった。
噺家というのは間が大事なんです。落語の間もそうだし世の中に出て行くにも間が命。

自分が師匠に言われたことや新作をやるには時代に合わなきゃいけないという話や途中に小噺もはさみつつ…とりとめもなくあれこれ喋るんだけど、93歳とは思えない、背筋がぴんとしていて頭もしっかりしていて声にも張りがあって…まさにレジェンド。
とてもチャーミングで惹きつけられた。
時間切れで落語が聴けなかったのが残念。


真打昇進披露口上(歌蔵師匠:司会、文治師匠、夏丸師匠、幸丸師匠、楽輔師匠、米丸師匠)

米丸師匠 夏丸さんについては勉強熱心だし何も心配してない。でもいまは噺家もたくさんいるし、うまい人や面白い人が売れるというわけではないからそこが厳しいところ。なんであいつが?ということはよくある。でも夏丸さんは不思議がたくさん詰まった人だから。あれ?褒めてない?

パーティの時も思ったけど、米丸師匠の話には愛があっていいなぁ…。
こんなふうに師匠と大師匠が口上に並んでくれるなんて、夏丸師匠は幸せだね。感動。

そして歌蔵師匠の司会もよかった。やっぱり口上の司会は若手真打がいいなぁ。慣れてない分緊張感があって清い。


幸丸師匠「昭和30年代の歌」
噺の中で、自分が大学時代の話をされていて、国文科だったんだけど4年生の時にはすでに落語家の修業を始めていた、と。
卒論だけは出してどうにか卒業したいと思い、多作な作家は無理だ、夭逝して発表した作品の少ない詩人がいいだろう、と思って中原中也を候補に選んだ、というのに笑った。
わかるーー。私も日本文学科卒。

夏丸師匠「いが栗」
この日の「いが栗」、本当に素晴らしくて噺に引き込まれた。
さびれた田舎の景色、荒れ果てた寺にいる不気味な坊主、素朴なおばあさん…そういう光景が本当に目の前に浮かび上がるようで、ちょっとびっくり。歌丸師匠が降りて来てくれたんじゃないかと思うほど。
いつもは大好きなくすぐりが不要に思えるほどの世界。
普段不敵な夏丸師匠が、全力で噺に向き合ってる感じがあって、素敵だった。
満員の陽気なお客さんが息を詰めて噺に聞き入っているのもなんか感動的で胸がいっぱいになった。
素晴らしかった。

こんなに通った真打披露興行は初めてで、なんかこうやりきった感。私はただ見に行ってただけだけど。満足。

 

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