りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

太陽の棘

太陽の棘(とげ)

太陽の棘(とげ)

★★★

私は、出会ってしまった。誇り高き画家たちと。太陽の、息子たちと―。終戦直後の沖縄。ひとりの青年米軍医が迷い込んだのは、光に満ちた若き画家たちの「美術の楽園」だった。奇跡の邂逅がもたらす、二枚の肖像画を巡る感動の物語。

実話をもとにしているということと今も沖縄に基地があることを思うと、なんともいえず複雑な気持ちになる。
芸術があったから、そして希望があったから、焼け野原のなかでも、何度台風に家を倒されても彼らは笑顔でいられたのだろう。

戦争に勝った側と負けた側。
国のあれこれはあっても、結局は人間同士のかかわりあいだとは思うけれど、それも政治的なことでふみにじられる。それが戦争。
医療チームのトップが暴力を振るった将校よりの人間だったら、この物語はもっと苦いものになっただろう。
実話をもとにしているならではの小粒さ…のようなものを私は感じてしまった。