りつこの読書と落語メモ

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J亭落語会花鳥風「鳥」シリーズ 春風亭一之輔独演会

9/27(金)、JTアートホールで行われたJ亭落語会花鳥風「鳥」シリーズ 春風亭一之輔独演会に行ってきた。
JTアートホールは初めてだったのだが、途中で迷ってしまい泣きそうになった。方向音痴だから毎回初めてのホールは緊張するんだけど、大きなビルや大きな通りが多い街って案外難しいんだなということを痛感。普通の人なら迷うようなホールじゃないとは思うんだけどね。とほほ。

・小はぜ「子ほめ」
・一之輔「鮑のし」
・一之輔「短命」
〜仲入り〜
・こみち「紙屑屋」
・一之輔「らくだの子ほめ」

開口一番は小はぜさん「子ほめ」。
ご隠居にお世辞をならうところで、年のほめを飛ばしたのはわざと?
ものすごい縮小版の「子ほめ」だった。

一之輔師匠「鮑のし」。
小はぜさんの「子ほめ」を「子ほめってあんなに短くできるんですね!」と。
10分の予定が8分であがってきた。さすが柳家だ。しかも小はぜもこみちも小三治の孫弟子。ちゃんとした方の柳家だ。
小はぜなんて手に「KSJ(小三治)」って彫り物を入れてる。小三治に死ねと言われれば黙って死ぬ覚悟がある。二二六事件に参加した若者と同じ目をしている。
こみちさんが産休明けての復帰であることから自身の出産立ち合いの話や、これから行くヨーロッパ公演の話など。
まくらがいつもと違っていて楽しい。

しっかり者のおかみさんが出てきたので「加賀の千代」か?と思ったら「鮑のし」だった。
ごにょごにょになる口上が、おなじみだけどおかしい。

一之輔師匠「短命」。
ご隠居と八さんがそこはかとなく仲が良い感じが伝わるといいって言いますけど、私がやるとギスギスしちゃいますね。
今日のご隠居と八さんはいつも以上にギスギスムード。
やたらと突っかかる八さんに「なんでそういちいち突っかかるんだ?」。
めんどくさくなって「そうだその通りだ。コタツだよ。コタツのガスで死んだんだ。さあ、お帰り」。
「すみませんでした…!自分でも言ってて無理があるってわかってました。すみません!」
そして最後は「楽しかったよ」「またやろう」。
ギスギスしてるけど、ご隠居も八さんも楽しんでいるのだ。このプレイを。
何度もやってるうちにどんどん過激化しているような気がしないでもないが、楽しい短命。

仲入り後は、こみちさん「紙屑屋」。
一之輔師匠が「柳家の了見」をやたらと嫌がるという話から。
柳家の了見っていっても別にたいしたことはないんだけど、その中にご飯はおいしそうに食べる、おいしかったら「おいしい」と言う、というのがある。
小さん師匠からの教えなので、弟子たちが集まってご飯を食べるとあっちでもこっちでも「おいしいなぁ!」「ああ、おいしい!」とうるさい。
一之輔師匠にごちそうになった時にそれをやったら「うるせぇ!!」と怒られた。
さらに前座さんが一之輔師匠にごちそうになった時に「おいしいです!」とやったら「お前はこみちか!」と怒られた、と。

噺家のジンクスに、手が荒れている噺家ほど出世するというのがある。
前座修行を一生懸命やった人ほど出世する、ということなのだろう。
一之輔師匠は前座修行はほとんどやってなくて通いだったから家事も手伝っていなくてそのことにどうやらコンプレックスがあるらしい。
確かに一之輔師匠の手はぷっくらしていてきれいでまるで「かにパン」のよう。
でもあれだけ早く出世したのだから、一之輔師匠は噺家のジンクスを壊した、歴史を変えた人なのだ。

「紙屑屋」は初めて聞く噺だったのだが、道楽者の若旦那が紙屑屋に奉公に行くのだが昔の癖が抜けずに紙屑をより分けながら大きな声で歌ったり都都逸をやったりする。多分この「歌」の部分が肝なのだろう。
こみちさんは非常に歌が上手で調子が良くて、聞いていて気持ちよかった。さては得意技だね?

一之輔師匠「らくだの子ほめ」。
こみちさんにさんざんいじられていたから反撃するんだろうなと思ったら案の定。
なんだなんだ得意だからって自慢げに歌いまくりやがって。誰に教わったんだ、その噺?と突っかかったら、「一朝師匠です」だって。それは失礼いたしました。
また、こみちさんが噺の中に一之輔師匠を登場させたことに触れて、「どうせ登場させるならやり切ってほしいのに、変に遠慮があって中途半端。それがいや。」と。

話し始めたとたんに客席が「らくだだ!」とざわめいたのを察知して「みなさんが思ってるような噺じゃありませんよ」と、「らくだの子ほめ」。
柳家の了見なんかぶっ壊してやる!という一之輔師匠のアナーキーな精神が前面に出ていて、大爆笑。
今日はこれが見られただけで満足だなぁ…。

一之輔師匠のやる「らくだ」の暴暴ぶりといったら。
教えてもらった通りに褒めて酒をごちそうになろうとするのだが、あまりの怖さにみんな褒め切る前にお金を出してくる。
「なんか納得いかない」「すっきりしない」とぼやくらくだ。
サゲまでやって「らくだの発端という一席でした」って、もう最高!