りつこの読書と落語メモ

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パトロネ

パトロネ

パトロネ

★★★★

同じ大学に入学した妹と同居することになった「私」。久しぶりに会った妹は意図的に「私」を無視し続ける。写真部に入部した妹を追うように「私」も入部するが妹はやめてしまい、やがて奔放な生活を始める。しばらく家を空けていた妹は、戻るなり規則正しい生活を始めた。しかしある日、妹は荷物とともに姿を消してしまい…。中年主婦vs双子の悪魔を描いた第141回芥川賞候補作「いけにえ」を収録。

繊細でいながらためらいもなく人の領域をバキバキと踏みにじっていくような無神経さが何とも不気味で面白い。

「パトロネ」
同じ大学に入学した妹と同居するようになった「私」。
妹は意図的に「私」を無視し続け、「私」はそれまで妹がいたことすら意識していなかったのに同居を始めたとたん妹と同じ写真部に入部したり、ロフトから妹を覗き見たりする。
読んでいると、妹の存在感のなさが不思議で、まるでストーカーのような行動をとる「私」が不気味。
「私」は皮膚病を患い皮膚科に通うようになるのだが、医師の診断も合っているのか合っていないのか異様な感じで、「私」の精神状態も皮膚の異常とともにますますおかしくなっていくようで、なんだなんだ?と物語に引き込まれていくうちに、あれ…?この姉ってもしかして…?と気づく。

出てくる人たちのふわふわとした存在感のなさに対して、「私」の圧倒的な存在感。
皮膚の描写がよりその感覚をリアルにしている。

「いけにえ」 表題作も気持ち悪いが、「いけにえ」の気持ち悪さはなんだいったい。
普通の鈍いオバサンが悪魔を見つけて捕まえて…ぐわぁ、これはいったいなんなんだ。
確信に満ちた行動が何とも言えず怖い。それ以外の描写があまりにも日常で愚鈍なだけに余計に怖い。

よくわからないけどなんだか好きだ。「気持ち悪い」と書いたけれど、小気味よさや清潔さが感じられてそこが好き。
芥川賞受賞作品の「爪と目」も読んでみたい。