りつこの読書と落語メモ

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ある秘密

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)

ある秘密 (新潮クレスト・ブックス)

★★★

ナチスによる虐殺が行われた時代、父と母の間に何があったのか。両親の秘密に薄々気づいていた少年が真実を知り成長する姿を描いた自伝的小説。

家族の秘密と民族の悲劇が重なった痛ましい出来事がそこにあり、罪悪感から沈黙せざるを得なかった両親。その秘密を知ったことで、ようやく「自分の物語」を歩き出すことができるようになったと語る「ぼく」。

登場人物や語られる出来事が極端にそぎ落とされているため、物語はとてもシンプルで静かな迫力に満ちている。あとがきを読むと、あまりにも作者の思い入れがこめられていたため、最初に書き上げた時点では感情に流されている部分が多く、そこからどんどんそぎ落としていって、この形になったらしい。確かにそうやって骨組みだけ残したんだろうなという感じがするのだ。

私はもう少しウエットな方が好みだけどね。

クレストがほんとにすばらしいので、クレストは全部読もうと思っていて、これもその一環で読んだのだ。クレストってアメリカだけに偏ってないところもすばらしいよね。