サラの鍵
- 作者: タチアナ・ドロネ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/05
- メディア: ハードカバー
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パリで平穏に暮らす45歳のアメリカ人記者ジュリアは戦時中にこの街で起きたユダヤ人迫害事件を取材することに。しかしその事件が彼女の、そして家族の人生を深く、大きくゆさぶりはじめる…。
サラの物語はあまりに辛くて正直目を背けたくなるのだが、現代に生きるジュリアの視点を挟むことで「知ることがまずは大事なのだ」というメッセージが伝わってくる。この構成がすごい。
ただ、フランス人として普通に暮らしていたユダヤ人たちが、ある日いきなりフランスの警察に捕まえられてアウシュビッツに送られて殺されていくという出来事と、フランスに暮らすアメリカ人の女性が夫婦関係に悩みつつ過去の事件を調べてサラの足取りを追うという間のギャップがあまりにも大きくて、それを同じレベルで語るのは、少し強引さを感じないでもなかった。
でもとにかく知ること、真摯に受け止めることが大事なのだと考えると、読みながら何度も涙がこぼれたが、読んで良かったと思う。