りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

ランチ酒

 

ランチ酒

ランチ酒

 

 ★★★★

犬森祥子の職業は「見守り屋」だ。営業時間は夜から朝まで。ワケありの客から依頼が入ると、人やペットなど、とにかく頼まれたものを寝ずの番で見守る。そんな祥子の唯一の贅沢は、仕事を終えた後の晩酌ならぬ「ランチ酒」。孤独を抱えて生きる客に思いを馳せ、離れて暮らす娘の幸せを願いながら、つかの間、最高のランチと酒に癒される。すれ違いのステーキとサングリア、怒りのから揚げ丼とハイボール、懐かしのオムライスと日本酒、別れの予感のアジフライと生ビール…今日も昼どき、最高のランチと至福の一杯!心を癒し、胃袋を刺激する絶品小説。 

 女性版&飲める人向き「孤独のグルメ」のような作品で、これが楽しくないはずがない!

孤独のグルメ」の方はお仕事はランチの場所を見つけるための移動という位置づけっぽいが(失礼?)、こちらは見守り屋というお仕事と主人公自身の家庭の問題もきちんと語られていてそのバランスがとてもよい。

こんな風にきちんと人と対峙することができて、食べることと飲むことも楽しめる主人公が結婚相手+義父母とうまくいかなかった、というのも…人生簡単ではないよねぇと思う。

個人的には飲み方のほどがよくて尊敬!(あとひき上戸じゃないのよね…)
続編もあるとのことなので楽しみ。

銀河の果ての落とし穴

 

銀河の果ての落とし穴

銀河の果ての落とし穴

 

 

★★★★★

奇想とリアル、笑いとシュールが紙一重のケレットワールド。ウサギになったパパ、サーカスの人間大砲、戦場に現れるピトモンGOキャラ、脱出ゲーム「銀河の果ての落とし穴」…語りの名手の最新短篇集。

とてもよかった。この方の作品は翻訳されれば必ず読んでいるけれど、独特の浮遊感があってたまらない。

危険と隣り合わせの日常の中ほんの小さな出会いや楽しみに救いを見出す日々。

ホロコースト」もその人の経験や立場によってとらえ方や感情がさまざまであることを痛感した。

批判、達観、諦観とも違う…どうしようもない世界を生き延びるための希望のようなものを感じる。異常な日常を乗り越えるためのユーモアの切実さが胸を打つし、もはや他人ごとではない。

 

第七回 柳家さん助の楽屋半帖

11/11(月)、駒込落語会で行われた「第七回 柳家さん助の楽屋半帖」に行ってきた。
 
・さん助「磯の鮑」
~仲入り~
・さん助「入鹿に乗った少年」(イルカに乗った少年、煙草、月夜)
・さん助「鴻池の犬」
 
さん助師匠「磯の鮑」
「この間夜の0時頃、知らない人からメールが来まして」とさん助師匠。
メールには「師匠、〇〇病院に入院することになりました」と書いてあった。
え?師匠が入院?!でも兄弟弟子のアドレスは登録してあるから名前が出るはずなのに、出ないってどういうこと?誰?
あ、もしかして入ったばかりの前座さんが付き添い?
これは一大事!と思ったけど、時間も時間だからとりあえず連絡するのは翌朝にすることに。
次の日の朝になって一番優しくて穏やかな兄弟子(!) に電話して聞いてみると「え?そんなこと聞いてないよ」。
兄弟子に連絡が来てないってことはなんか違うのかも。
あ、もしかして他の師匠の弟子が慌ててメールして自分に送って来ちゃったとか?
それだったら困ってるかもしれないと思い、メールに返信。「私、柳家さん助と申します。失礼ですがあなたはどなたですか?」。
返事が返ってくると、これが知り合いの人!
どうやらこの「師匠」というのは、私に対する呼びかけだったみたいです。
あーー危なかった。師匠宅に慌てて電話したりしたら、リアル松曳きになるところだった…。
 
…リアル 松曳き、面白すぎる!
でもちゃんと一呼吸置いたの、エライぞう!(←褒めること自体が失礼)
あー笑った笑った。面白いなぁ、さん助師匠。生きざまが落語(笑)。
 
そんなまくらから「磯の鮑」。
この間にぎわい座で聞いた時とガラッと変わっていたからびっくりした。
 
最初は町内の若い連中のわいわいがやがや。
「お前最近、中に行きっぱなしっていう噂じゃねぇか」
「お?聞いてる?そうなんだよ。もう吉原の方が家みたいになっちゃって」
なんて会話をしていると、その男が「あ、そういえばお前の相方の手こずるから手紙を預かってるよ」。
「え?俺に手紙?いやぁ~まいったなぁ。惚れられちゃうとこうやって手紙が来ちゃうからなぁ。寂しがってるんだなぁ。いやぁ~まいるなぁ」
せっかくだからその手紙、みんなの前で読み上げようということになり、「じゃ俺が読むよ!」と手を挙げた男。「なんたって俺は吉原に行き慣れてるから!遊びってもんを知り尽くしてるから!」
読み始めると案の定しどろもどろ。この誤読っぷりがすごくおかしい。読み間違えていちいち「ええええ?〇〇ーー?」と驚くのがおかしくておかしくて。
 
そんなところへ与太郎が入ってきて「みなさんまた吉原の話ですか」とにこにこ。
吉原ってそんなに楽しいところなんですか、何がそんなに楽しいんですか、と聞いた後に「吉原行くと儲かりますか?」。
そこでいたずらっ気を起こしたくまさんたちが「 蔵前に女郎買いの師匠がいる」と教える。
そこからの展開はにぎわい座の時と一緒なんだけど、あの時よりずっと面白かった~。
なんだろう。さん助師匠の与太郎ってバカっていうよりは無垢な子どもっぽくて「師匠」に教えてもらっていちいち感心したり、繰り返したりするのがなんともチャーミング。
師匠も教えているうちにだんだんノリノリになってくるのも楽しい
 
吉原に行ってからの若い衆とのやりとりもバカバカしくて楽しいし、なによりも花魁が優しくて色っぽくてとってもいい。なんかさん助師匠で珍しい気がする。色っぽくて優しい女性って。
すごく楽しい「磯の鮑」だった。
 
 
さん助師匠「入鹿に乗った少年」(イルカに乗った少年、煙草、月夜)
頭を下げるなり、いきなり「あーー”煙草好き”、教わりてぇなぁ」。
 
おおお、ついに1席やらずにいきなり三題噺に入るというニューパターン。
お題取りの時に「煙草」という題が出た時にさん助師匠が「”煙草好き”っていう噺があるんですよ。今やる人はいないですけど。三代目小さんがやってたらしいんですけど」と言っていたんだけど、なんとそれをいきなり落語に取り入れたのか!
 
「やりたいんだよ。”煙草好き”。それも3代目小さんから教わった人に教わりたいんだよ、燕弥くん」
「ええ?それは難しくない?だって3代目小さんが亡くなって何年になるんだ?さすがに存命の人はいないんじゃないか。速記でやればいいじゃない。いつも速記でしょ。兄さんは。」
「いつも速記じゃないよ!ちゃんと教わってるよ!」
「速記でいいじゃない。速記で」
「速記速記言うなよ!教わりたいんだよ」
二人で話していると今度は喬志郎が「あーそういえば…3代目小さんの弟子が今130歳ぐらいになって八甲田山に住んでるって聞いたことがあるなぁ」(←似てねぇものまね)
「え?なに、その話?喬志郎兄貴が言うことなら間違いないな…。よし!じゃ行ってみよう。それで教わるんだ、直接。」
 
そう言い残してさん助は八甲田山へ。
ふもとで会った老人に訪ねると「ああ、そういえば山の頂上近くに炭小屋のような小さな小屋があってそこに老人が住んでいて一人で何やらぶつぶつ言ってるという話を聞いたことがあるな」
「一人でぶつぶつ?」
「ああ。こんちはーご隠居さん。おや誰かと思ったらはっつぁんじゃないか。…とか、日本橋の浜町に黒板塀に見越しの松…とか」
「間違いない…そこだ!」
 
それから八甲田山を登り始めるさん助。「あーなんで俺はいつも着物なんだよ」と嘆きながら。
最初のうちは景色を眺める余裕もあり、空を見上げて「あーーきれいな月夜だなぁ。」(拍手!)「これが見れただけでも来た甲斐があったってもんだな」。
しかし上へ上へと行くうちにどんどん山は険しく、天候は厳しくなってくる。
雨がものすごい勢いで降りしきる中、「がぉーーーー」といううめき声。
なにか?!と思うと、虎!(八甲田山に!)
襲い掛かろうとする虎にさん助が扇子を刀に見立てて「えいっ!!」とやると、虎は慌てて逃げ出す。
「こ、これが芸の力…」
そうやって現れる獣を芸の力で追い払ったさん助だったが最後に現れたヒヒにはこれが通用せず。もはやここまで!と思ったところで雷が落ち、ヒヒは真っ二つ。どうにか難を逃れ、ようやくその伝説の噺家の小屋へたどり着く。
 
さん助を小屋の中に入れた落涙師匠は「あなた…わざわざここまで来たということは…噺家さんかな?」。
私はあなたに噺を教えていただきたくてここまでやってまいりました」
「なるほど。それで、なんの噺を?」
「煙草好きをお願いしたいのです」
「ああ…煙草好き。それはお家芸だからだめです」
「えええ?ここまで来たのに?お家芸って…もう誰もやる人がいないじゃないですか!!」
しつこく食い下がるさん助に最後は「わかりました。教えましょう」と落涙師匠。
ようやく念願の稽古をつけてもらえることになり、ほっとしたさん助。
小屋の中を見渡して「それにしても…本がたくさんありますね…〇〇に××に…」
「ああ、私は歴史を研究しています」と言って蘇我入鹿の蘊蓄を語る師匠。その中で「イルカに乗った少年」が使われる(拍手!)。
そして、どうしてヒヒが真っ二つになったのでしょうというさん助の問いに師匠は「ヒヒ」が二つで「火」「火」、でサゲ。(えええ?)
 
…いろいろツッコミどころはあったけど(八甲田山に虎?!とか、山を登る時に見に付けるのはザイルじゃなくてハーネス、とか)、まさか「イルカに乗った少年」が「蘇我入鹿」になるとは…。ほんとさん助師匠の発想って常人の枠を超えてる(笑)。
面白かった。
 
さん助師匠「鴻池の犬」
まだ時間があるので…と 「鴻池の犬」。
普通の噺家さんが人情噺としてやる「妾馬」とかが全然人情噺っぽくないのに、「鴻池の犬」がこってりと人情噺になっているのが、さん助師匠らしくて面白い。
三題噺のあとでお疲れだったのかちょっとわちゃわちゃっとした印象はあったけれど、おかげ犬との別れの場面は悲しくて涙…。
再会できたクロの優しさに、ああ…これでもうシロは大丈夫…という安心感とともに、おひらき。
 

第3427回 黒門亭

11/9(土)、第3427回 黒門亭に行ってきた。

 

・駒へい「道灌」
・美るく「ふぐ鍋」
・藤兵衛「始末の極意」(さんま火事)
~仲入り~
・小花 太神楽
・甚語楼「抜け雀」

藤兵衛師匠「始末の極意」(さんま火事)
藤兵衛師匠は珍しい話をしてくれるから大好き。
ケチな地主のケチぶりが徹底していて笑ってしまう。
それに意趣返しをしたいだけの町内の連中のたわいなさ。
サゲのバカバカしさも大好き。楽しかった。

 

小花さん 太神楽
こんなに近くで太神楽を見られるの、めっちゃ楽しい。
それにいつもの寄席ではやらない技をいくつも見られて、これは幸せだー。
間近で見ると太神楽ってすごい運動量なんだなということがわかる。
なんかすごいお得感。


甚語楼師匠「抜け雀」
すごく表情豊かだし、噺のテンポがいいし、メリハリがあって、かっこいいなぁ。
甚語楼師匠の落語を聞くといつも「かっこいい」という言葉が出てしまう。
押しと引きのバランスが絶妙なのだ。
ああ、もっと甚語楼師匠を見たい。という気持ちでいっぱいに。

ケミストリー

ケミストリー

★★★★

ボストンの大学院の研究室で日々実験を重ねるも得意だったはずの化学の研究はうまくいかず、博士号取得はドロップアウト寸前。同棲中の彼からのプロポーズにも答えが出せず…。血のにじむ努力で中国から移民してきた両親の期待に応えられない自分を持てあます、リケジョのこじれた思いが行きつく先は―。ユニークな語り、削ぎ落とされた文章から滲みだすあたたかさが胸を打つ、愛と家族と人生のものがたり。中国系アメリカ人作家のデビュー作。PEN/ヘミングウェイ賞受賞 

血のにじむような努力をして中国からアメリカへ移民してきた両親のもとに育ち、がり勉と陰口を叩かれながらも博士課程まで進んだ女性。
同じ研究室の先輩と同棲しプロポーズを受けながらも結婚に明るい未来を抱けずイエスと返事をすることができない。
研究も行き詰まりドロップアウト。そのことを両親に告げることもできない。

両親が不仲で自分への期待の大きさや目に見えた愛情表現を受けずに育ったことによる気難しさはあるものの、彼女自身は親のことをちゃんと分かっていて赦しているのが救いだった。

前半は、うだうだ小説?とイライラしたけど、徐々にこの主人公が好きになってきた。

それにしても新潮クレストでこういう作品は珍しいような気がする。

11月上席「落語協会真打昇進襲名披露」

11/8(金)、国立演芸場で行われた11月上席夜の部「落語協会真打昇進襲名披露」に行ってきた。

・市若「牛ほめ」
・わん丈「来場御礼」
・扇辰「道灌」
・ペペ桜井 ギター漫談
・権之助「湯屋番」
・ぎん志「町内の若い衆」
~仲入り~
・真打昇進襲名披露口上(扇辰、権之助、ぎん志、小志ん、わさび)
・にゃん子・金魚 漫才
・わさび「券売機女房」
仙三郎社中 太神楽
・小志ん「芝浜」

 

わん丈さん「来場御礼」
いつもの高校時代に金髪にした話でどっかん!とウケて気を良くして(笑)、地元の会が増えるといかに東京のお客様が落語会に慣れているのがわかる、とわん丈さん。
自分の会を地元でやると、携帯は鳴るわ袋のガサガサいう音はするわ…まぁ落ち着かない。
しかも犯人は誰だ?と客席をチェックして、それが自分のおかんだった時の気持ちと言ったら。
家に帰ってきてから母親にダメ出し。
しかし母親も負けてない。
「落語の最中に携帯ならしたやろ!なんで電源を切らんのよ」
「いやだって…携帯の電源切るって結構な勇気が必要なんや」
「でも落語の最中に着信音が鳴ったら噺が台無しになる!」
「あれは着信じゃなくてアラームやで!」
「そんなのどっちでもええわ。しかもすぐに切らないしもう一度ならしたやろ!」
「それはスヌーズ!」

…強烈だけど息子がかわいくてしょうがないお母さんの姿が浮かんできて、すごく笑えるしほのぼのもする。
わん丈さん、すごいなぁー。お客さんを引き付ける力がとても二ツ目とは思えない。
そして「人たらし」のかほりもぷんぷん(笑)。


ぎん志師匠「町内の若い衆」
ぎん志師匠、左吉時代に2回見ているけど特にそれほど強い印象は持ってなかった。
でもこの日の「町内の若い衆」はなんか好きだったな。なんだろう。わざとらしさが全然なくてふわっと面白い。思わず引き込まれてわはは!と笑ってしまった。
途中でセリフが抜けたりもして、あれ?なんか緊張してる?
仲入りに入った時に、ぎん志師匠をよく見てる友だちが「がたがたじゃねぇか!」と言ったのもおかしくておかしくて。
「あ、やっぱり?緊張症?でもなんかすごく好みだったよ」と言うと「でしょう!いいんだよ、この人すごく!」。
楽しかった~。


真打昇進襲名披露口上(扇辰師匠:司会、権之助師匠、ぎん志師匠、小志ん師匠、わさび師匠)
新真打の楽屋入りが遅かったと扇辰師匠はご立腹(笑)。特にわさび師匠は、扇辰師匠が出番に上がるときにもまだ来てなかった、と。
この4人のこと私はそんなに知らないんだよ、と言いながらも、これからも末永く応援してやってくださいと挨拶。
それから、それぞれが自分の隣に座った師匠の好きなところ、嫌いなところを言う、という流れに。
ところがこれ、打ち合わせと逆の流れだったらしく、全員がぶっつけ本番で相手について言わなければならなくなってしまった様子。
で、一番端のわさび師匠は権之助師匠のことを言わなければいけなかったのに「扇辰師匠の好きなところは…」とわざと間違えたのがすごくおかしかった。さすが機転が利くね!


わさび師匠「券売機女房」
小さな中華屋に常連客が入ってきて「あー俺いつものやつね」とラーメン、餃子、ビールの小瓶を注文。
それを食べながら店主とあれこれ話をしていると、そこにアメリカ人のお客さん。メニューもよくわからないし注文の仕方もわからない。
その後に入って来たのが声の小さい内気な青年。彼も勇気をだして注文を言ってるのに店主が耳が遠くて聞き取ってくれないことに心折れて出て行ってしまう。
「この店も券売機入れた方がいいよ」と常連さんに言われた店主とその女房は、そうは言っても券売機を入れるような金もないし…と困り果てる。
そこで亭主が券売機を手作りしてその中に女房が入り「音声認識」と評して女房が券売機をやることに…。

わさび師匠らしいシュールな新作。
小さな中華料理屋の老夫婦がお互いを思いやる様子が微笑ましい。
後で友だちに聞いたら、先月の月わさで作った三題噺とのこと。
できたてのほやほやの新作を披露目でかけるって…すごい!

池袋演芸場11月上席夜の部

11/7(木)、池袋演芸場11月上席夜の部に行ってきた。
 
東京ボーイズ 歌謡漫談
・太福「豆腐屋ジョニー」
山上兄弟(弟) マジック
・圓馬「試し酒」
 
東京ボーイズ 歌謡漫談
池袋だからなのか?いつもと違うマニアックなネタ。
「ろくでなし」「枯れ葉」など、普段聞けない歌が聞けて嬉しい~
 
太福さん「豆腐屋ジョニー」
とても静かな客席を巻き込んでどんどんテンションを上げさせたのがすごい!
私の前のおばさまなんかもう話に巻き込まれて「あらー美味しそう…それ」なんて声出しちゃってたもの。
寄席で見る太福さん、かっこよかったー。
そして大真面目な顔で三味線を弾くみね子師匠がほんとに素敵。
 
池袋シェルターになる説から始まって非常口の話など、内緒話のように話しかけてくれるのがもう楽しくて楽しくて。
前方の「豆腐屋ジョニー」の場面を幾つも織り込んでの「粗忽長屋」。
シュールなこのネタをおとなしい客席にぶつけてくすくす笑いの渦にするって…すごいのでは。
太福さんといい、遊雀師匠といい、トリに向けて客席を温める…見事な手腕を見た!って感じ。
よかったー。
 
山上兄弟(弟くん) マジック
そういえば山上兄弟の弟くんが1人で上がったのを見たことがあったなぁと夕べ思い出していたら、今回も!
マジックやらない方の弟くん。音楽も止めさせて「これぐらいしかできないですよ」と言いながら…種明かしも少ししながら…でもなかこれはこれでかわいくていいじゃない。って完全に母親目線(笑)。
 
圓馬師匠「試し酒」
お酒のまくらから「試し酒」。

清蔵が最初に現れた時は武骨で愛想もなくて失礼な感じだったのに、酔うほどに陽気になって楽しくなっていくのが見ていて楽しい。

飲み方がきれいだなぁ…なんて見とれてしまった。
そして圓馬師匠がだんだん顔が赤くなってきて…え?ほんとに酔っ払っちゃった?(笑)
清蔵さんの酔っ払い方がダイナミックで楽しかった!

池袋演芸場11月上席夜の部

11/6(水)、池袋演芸場11月上席夜の部に行ってきた。
 
宮田陽・昇 漫才
・夢花「転宅」
遊雀「うどんや」
山上兄弟 マジック
・圓馬「妾馬」
 
遊雀師匠「うどんや」
この日の客席に「うどんや」?!と驚いたのだけど(あまり笑わないおとなしめのお客さん)、これがほんとにぴたりとはまってかっこいいとしか言いようがなかった。
前半は酔っ払いがああだこうだと火に当たりながら話をするんだけど「さっきまで引っ越しの手伝いしてたもんだからさ(「転宅」つながり)」とか「婚礼と言えばやっぱ歌だよなー。裕ちゃんいいよな(仲入りの桃太郎師匠つがなり)。でも実は俺は全盛期の裕次郎には間に合ってなくて”太陽にほえろ”なんだなー」とか…それで静かな客席がわっ!と盛り上がる。
それから酔っ払いの一人語りでひとしきり笑わせた後、今度はしんみりと「おーい、うどんやー」と小さな声のやりとり。前半の盛り上がりがあっただけにみんながそのやりとりに集中して耳を傾けていると…という展開。
またうどんの美味しそうなこと!
寒空の下、温かい鍋焼きうどんを食べる姿が目に浮かんでくるし、うどん食べたくなるし、最高だった。
 
圓馬師匠「妾馬」
タピオカの小噺がツボにはまってしばらく笑いが止まらなかった。すごいくだらないんだけどなんかかわいくておかしい~。
そんなまくらから「妾馬」。
八五郎が言葉はぞんざいだけど明るくてからっとした気持ちのいい人物。
「おつるがお世取りを産んだ」や「お目録をちょうだいできる」をへんてこな聞き間違いをするのがおかしい。
門番は田舎の人なのか、しゃちこばっているけど訛ってる(笑)。
三太夫も訛ってる?のは初めて聞いた。
 
お酒を飲んで調子が出て来た八五郎がお殿様に向かって「おつるが一緒になりたいって頼んだならまだしも、お殿様の方から惚れたんだから」と言うのは、ものすごい失礼なんだけど道理なので大笑い。
おつると対面した途端、兄の顔になる八五郎にもじーんときたなぁ…。
 
圓馬師匠らしい、味のある「妾馬」で面白かった~。

傑作はまだ

 

傑作はまだ

傑作はまだ

 

 ★★

「実の父親に言うのはおかしいけど、やっぱりはじめましてで、いいんだよね?」そこそこ売れている引きこもりの作家・加賀野の元へ、生まれてから一度も会ったことのない25歳の息子・智が突然訪ねてきた。月十万円の養育費を振込むと、息子の写真が一枚届く。それが唯一の関わりだった二人。真意を測りかね戸惑う加賀野だが、「しばらく住ませて」と言う智に押し切られ、初対面の息子と同居生活を送ることに―。孤独に慣れ切った世間知らずな父と、近所付き合いも完璧にこなす健やかすぎる息子、血のつながりしかない二人は家族になれるのか?その「答え」を知るとき、温かく優しい涙が溢れ出す。笑って泣ける父と子の再生の物語。 

読みやすかったしハートフルなんだけど、へー…という以外の感想がなく…。
なにかこう…薄っぺらに感じてしまう。
私には合わないみたいだな、この作家さんは。

 

犬 (文芸書)

犬 (文芸書)

 

 ★★★

初長編『鯖』が第32回山本周五郎賞候補
ブレイク必至!
今、最もキテル鬼才が放つ、狂乱の疾走劇

大阪でニューハーフ店「さくら」を営む桜は63歳のトランスジェンダーだ。
23歳で同じくトランスジェンダーの沙希を店員として雇い、慎ましくも豊かな日々を送っていた。
そんなある日、桜の昔の男・安藤勝が現れる。
今さらと思いながらも、女の幸せを忘れられない桜は、安藤の儲け話に乗ることを決意。
老後のためにコツコツと貯めた、なけなしの1千万円を用意するが……。

大阪発。愛と暴力の旅が、今、始まった。
嬲り、嬲られ、愛に死ね!

暴力シーンの凄まじさと、そうなることは分かっているのにずぶずぶとデンジャーゾーンに入って行く主人公に苛立って、読んだ直後は「この作家の本は二度と読まない!」と思った。
でも読み終わってからしばらくたつと、なんとなく気になってきて…あれはいったいなんだったんだろう、結局作者は何を描きたかったんだろう、ともやもやしてきた。

この作品から愛や人生を読み取ることは私にはできない、と思ったけど、いや…待てよ…と今は思っている。
他の作品も読んでみよう…体調がいいときに(笑)。 

柳家小三治独演 銀座ブロッサム

11/4(月)、銀座ブロッサムで行われた「柳家小三治独演会」に行ってきた。
 
・三之助「のめる」
小三治「死神」
~仲入り~
小三治「小言念仏」
 
小三治師匠「死神」
出囃子が鳴ってもなかなか出てこない小三治師匠。
前もこの会場でそういうことがあってその時はエレベータで間違って上に行ってしまったとおっしゃっていたので今回もか?
この日はテープではなくお囃子さんが来ていたようで、「二上がりかっこ」 が エンドレスで流れるのがなんともシュールでちょっと笑ってしまった。
 
出て来た小三治師匠、前方の三之助師匠に不満たらたら。
なんでも出る前に「のめる」をやると聞いていたので「20分やれ」と言ったのに、18分で降りてきやがった、と。それでも真打か?!
…でもこの小言がまた後で効いてきてすごくおかしかったんだな…
 
この日は昼の会だったんだけど「1時って落語やる時間ですか」。
まだ全然目が覚めてない。だってラグビー観るのに忙しいから。
ちょっと前からラグビーって面白いなぁと思っていたんですけど、今回のワールドカップ。まぁ面白い面白い。
夢中になって試合を見て試合終わったら録画でまた試合見てチャンネル変えてニュース見て。
…あら、この間小はぜさんが言ってたのとおんなじ(笑)。
 
それからラグビーの魅力について熱く語る小三治師匠。
そもそもボールがあんなふうに不安定な形をしているのが面白い。
ルールが厳しくて反則すると大変だということを選手たちがよーくわかってるからその緊張感もいい。
タックルして押し合いへし合いになって団子になったときに、一番下でボールを持ってる選手はそのまま持ってたら反則。前に投げても反則。だから団子の一番下でタイミングと位置を判断してしゅっと出す。
また「行ってもいい」というタイミングになったら全員が死ぬ気でタックルしてくる。あれがたまらない。言うなればグラウンド全体が土俵みたいなもん。もうね、すごいよ。あの勇気。見てると血沸き肉躍る。
しかも怪我していったん下がってもまた復活して出てくるでしょ?あれも面白い。
 
…こんなに夢中になって。この好奇心が小三治師匠を今も少年のようにキラキラさせているんだろうなぁ。
私もほんとににわかで日本戦を2試合見ただけだったけど、それでもラグビーってこんなに面白いんだ!と驚いたし、「ぬおおおおお!」と血沸き肉躍る場面もたくさんあった。
だから小三治師匠が熱く語ることが「わかる!」「なるほどそこが私にも面白いんだ!」とうなづけて、シンパシー。
 
そして前にここの会場で聞いたことがあった大会帰りの日本選手団とパリの空港で一緒になった話
重い荷物を持って階段をえっちらおっちら上っていると、選手なのかボールボーイ(笑)なのか、師匠と身長は変わらないぐらいの人が近づいてきて「僕が持って上がりますよ」。
「いや、大丈夫」と言ったのだけれど、「いいっすよ!」とひょいっと荷物を持って階段を駆け上がって行った。
ものすごく助かったしすごく感じのいい爽やかな青年だった。
まぁきっとボールボーイか補欠の選手だろうとその時は思ったけど、その顔は忘れられなかった。
そうしたら…ワールドカップ見ていたら…出ていたんですよ、その人が!見つけた時は「うぉおっ!」と声が出たよ。
最初からは出てないんです。途中で交代して出て来る。
身体は大きくない。だけど大男たちに囲まれてだんごの1番下になっても冷静にボールを出す。
ゴールに向かって爆走する選手に向かって実に正確なパスを出す。そのタイミング、スピード、ボールの強さ。すごい選手だったんだよ。
選手の名前は田中史朗選手。もうね、ファンだよ、私は。応援するよ。みなさんも応援してください。
 
…さすが小三治師匠、ほんとにその魅力を生き生きと伝えるこの話術…。素晴らしいなぁ。
とうっとりしていると、舞台袖から「師匠!」の声。
出たー(笑)。またマネージャーから「ここは時間が厳しいので!」。
「え?そんなに?そんなに長くしゃべってた?あら…」と師匠。
しばらく固まってるなぁ…と思っていると、「お前さん、やっと帰って来たね」。
おおお、落語に入った!これは…「死神」?!
声かけられて少しだけ固まっていきなり噺に入るって…しかも「死神」って…。
 
小三治師匠の「死神」は何回か見ているけど、死神にユーモアがあって大好き。
怖いし不気味さもあるんだけど、最後に現れて「お前はなんてことをしてくれたんだ」と言う時も「お前のおかげで俺はボーナス減らされちゃった」。
蝋燭に火を移そうとするときも「ほーら、早くしないと消えちゃうよ。消えるとお前は死ぬよ」とちょっと楽しそう。
またこの日は男が三千両がどうしても欲しくてどうにかできないかと考え抜いて「ぴかっ!」と自分で思わず言ったのもおかしかったなぁ。
 
時間もたっぷりとって渾身の「死神」。頭を下げた師匠には「やりきった」感があっただろうなぁと推測するんだけど、マネージャーから「まだ時間がある」の合図かなにかがあったらしく、え?とまた固まる師匠。
納得いかない様子で高座を降りて行った…と思ったら、袖でマネージャーと喋ってまた戻りかけ…また袖へ下がって行って「仲入り」へ。
仲入りがあるってことは後半もあるってこと?!でももう時間はぎりぎりなのでは?
じゃ出てきて挨拶だけして幕を下ろすのかな?と仲入りの間もわくわく!
 
小三治師匠「小言念仏」
「時間がないって言うからやったのに、やり終わったら今度は時間がまだ少しあるって言うんですよ」小三治師匠。
少し時間が早くたっていいじゃねぇか。長くやる時もあるんだから。
そう言ったら「でも二席やらないと独演会とは言えません」、そう言いやがるんですよ。
そうなんですか?一席で終わったこと何度もあるよ。
全くもう…それというのも、三之助が18分で下りてくるから…。
 
…それを聞いて客席全員が思ったこと。
「三之助さんはたったの2分。師匠は何分まくらをやってたんだい…?」。
いやぁもうおかしいおかしい。おかしすぎるよ。
そして宗旨の話をあれこれして、「小言念仏」。
時間が足りなくなってもう一席となったら「小言念仏」って言うのは結構あるけど、この日はさらに自由度が増していて。
念仏を唱えながら袖に向かって「お前…時間になったらまたその大きな声で言えよ!」。
しばらくして念仏を唱えながら「気が合わねぇ。あのマネージャーとは気が合わねぇ」。
さらに小言を探しながら…「…こんなことでいいのかな」。

そして赤ん坊が這い出してきてそれを目で追ってると袖から「師匠!」の声。

すると「お前ねぇ…赤ん坊が這い出し来たんだよ!そこで知らんぷりできるかよ!」
にこっと笑って「ばぁ!!」とやって「…小言念仏でした」。
 
…ぶわはははは。もう最高におかしかったー。
全部が落語、みたいな独演会。しかも小三治師匠は笑わせるつもりなんかこれっぽっちもない。ほんとに人間の魅力がそのまま落語の魅力、会の魅力になってる。
大好きだ。

きょんスズ

11/3(日)、スズナリで行われた「きょんスズ」に行ってきた。
この日は弟弟子3人がゲスト。ネタ出しされていたのは「午後の保健室」。
いやぁチケット取るの大変だった~。瞬殺ですもの。しかも私まぬけだから日にち間違えて買っちゃったりそれを人に譲ったり…でも最後の望みをかけた先行予約の抽選で神席が当たるという…人生浮き沈み…ああ~川の流れのように~…。
 
・小んぶ「浮世床(本)」
喬太郎「酒の粕」(小噺)
・さん助「めがね泥」
喬太郎「午後の保健室」
・小傳次「粋逸(スィーツ)天国」
~仲入り~
・喬志郎「派手彦」
喬太郎「孫、帰る」
 
小んぶさん「浮世床(本)」
わーい、小んぶさん!
いつものお相撲さんのまくらから「浮世床(本)」。
バカバカしくておかしくてツボにはまって大笑いだった。楽しい~
 
喬太郎師匠「酒の粕」(小噺)
今回は弟弟子3人がゲストです。一番ゲストの数が多いので持ち時間は短め。寄席みたいな感じ。それを楽しんでいただけたら、と。
挨拶だけかと思ったら与太郎酒粕を食べる小噺を。
なんとこの日は喬太郎サンドウィッチ。誰かが出るとその後喬太郎師匠が出てきて一席やるという…すごいサービス精神。
 
さん助師匠「めがね泥」
下北沢の駅からこの会場に着くまでの間に、美容院のチラシを二枚渡されました、と言うさん助師匠。「いったいどこをカットするつもりなんだろう…」に笑う。
そして会場に入ろうとすると係の人に「チケットを持って並んでください」。
「いえ、私出演者なんで」と言っても「みなさん並んでいるんで…最後尾にお並びください」。
そうだ、自分の場合、帽子をかぶっているとたいていわかってもらえないからと思って帽子を脱ぎながら「あの…出演者です」。
「ですからお並びください」
…仕方ないので最後尾に並んで入りました。入る時にも「チケットは?」という押し問答があったらしい。
わはははは。
 
そんなまくらから、怖い映画の小噺。これ何度聞いても笑っちゃう。
ということは泥棒の噺だねと思っていると「めがね泥」。
ここらあたりのことなら、どこの夫婦が危なくて、誰と誰が出来てるか、知り尽くしているという新米泥棒。
なんでも「焼きいも屋」に寄せようとするのがおかしい。
言い間違えもあったけど、きっとさん助師匠は気づいてないんだろうな(笑)。
どこが金を持ってるかのやり取りのあと、今日はどこに入るんですかの流れがちょっとわかりにくいような…。って余計なお世話か。
ばかばかしくて好きだな、この噺。「鈴ヶ森」より断然好き。もっと他の噺家さんもやればいいのになぁ。
 
喬太郎師匠「午後の保健室」
学校寄席に行った時の話。
ほんと、まくらの宝庫なんだろうな、学校寄席って。
喬太郎師匠みたいな超売れっ子がいまも学校寄席に行くんだ?!って、びっくりしちゃう。
何年か前とある中学に行ったとき。生徒たちの敵意むき出しの空気にむっとして前の方の出番だったのに「牡丹灯籠お札はがし」やってやりましたよ!
生徒はぽかーーん!楽屋に戻ると担当の先生が飛んできててっきり怒られるのかと思ったら「まさかここでお札はがしが聴けるなんて!」。
…マニアで助かった~。 に大爆笑。
 
そんなまくらから「午後の保健室」。
これはほんとにテンポが大事な噺だなぁ。
登場人物が次々出てきて次々イメージを裏切って行く、このスピード感。すばらしい~。
 
我々の仲間で粗忽といえばさん助です、と例の有名な逸話。
こうやって兄弟子や仲間が紹介してくれるから、さん助師匠得してるよね!(笑)。
「そんな粗忽ものが今では”めがね泥”をあんなに立派に…」という言葉も、ファンには嬉しかったな。
粗忽長屋」、面白かった。メリハリ!
 
喬太郎師匠「孫、帰る」
帰省のまくらだったのでもしやもしやと思っていたら「孫、帰る」。ううううれしい!!
最初は奇天烈に始まって、しばらくおじいさんと孫との会話があって、突然明かされる真実。
ここで鳥肌ぞわ~。
それまでひょうきんだったおじいさんが心情を吐露するところで涙腺崩壊。
目の前で見ると喬太郎師匠ほんとに迫力があって…視点がほんの少しもずれない。
すごいなぁー。やっぱりすごいわ、喬太郎師匠って。
行って良かった。すごい会だった。

ショウコの微笑

 

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学)

ショウコの微笑 (新しい韓国の文学)

 

 ★★★★★

高校の文化交流で日本から韓国へやってきたショウコは、私の家に一週間滞在した。帰国後に送り続けられた彼女の手紙は、高校卒業間近にぷっつり途絶えてしまう。約十年を経てショウコと再会した私は、彼女がつらい日々を過ごしていたと知る。表題作のほか、時代背景も舞台も異なる多彩な作品を収録。時と場を越え寄り添う七つの物語。 

 涙腺をピーポイントで刺激してくる作品が多くて、泣きながら読んだ。

高校の交流行事で知り合ったショウコとの交流を介して自分と家族に向き合う表題作。
ドイツの小さな村でベトナム人一家と韓国人一家の付き合いが過去の出来事によって引き裂かれる「シンチャオ、シンチャオ」。
フランスの修道院で出会ったケニアの青年への淡い恋心を描いた「ハンジとヨンジュ」。

心が触れ合う親密な瞬間と決定的に離れてしまう瞬間。人と人が分かり合うことの難しさ。家族だって分かり合うことは難しいのだから他人同士や国が違えば余計に…。
それでも心が触れ合った瞬間は本物で相手も時々思い出してくれていると信じたい。

繊細な描写がとても好みだった。

横浜にぎわい寄席

11/2(土)、横浜にぎわい寄席に行ってきた。

・こう治「やかん」
・昇輔「万病円」
・東京ガールズ
・勢朝「紀州
~仲入り~
・さん助「磯の鮑」
・翁家喜楽・喜乃 太神楽
・歌春「加賀の千代」

 

昇輔さん「万病円」
まくらも落語もふわっと面白かった!どっと鯉さんの時に一度見ているけど、その時もなんか面白いなと思ってたんだな。


さん助師匠「磯の鮑」
芸協だと小痴楽師匠(そうか、もう師匠なんだ!)でよく聞いていたけど、落語協会で聴くことはめったにないイメージ。と思ってこのブログを検索したら小里ん師匠で二回聞いてた!
さらに明らか「鮑のし」なのに「磯の鮑」って書いちゃってる記事も見つけてしまった。
私、思い込みが激しいからなぁ…(恥)。

さん助師匠の「磯の鮑」は、与太郎もそんなにバカっぽくなくて、「女郎買いの師匠」もふわっと優しくて、与太郎の相手をする花魁もそれほど与太郎を気持ち悪がらない。
なんとなくふわふわっとした優しさがあってなんか好きだった。


翁家喜楽・喜乃 太神楽
ひやっとする場面があってドキドキした。
全く何の心配もせず見られる太神楽って実はほんとにすごいことなんだな、と改めて。

八人の招待客 (海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》)

 

八人の招待客 (海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》)

八人の招待客 (海外ミステリ叢書《奇想天外の本棚》)

 

 ★★★★

数あるクェンティンの作品から最も入手困難な中編二本立て!『そして誰もいなくなった』へと繋がる先行作とも噂される「八人の中の一人」そして「八人の招待客」は、ともに本格趣味の横溢する逸品! 

古き良き時代のミステリーって感じ。登場人物が少なくて場面が動かなくて…昔のNHKの海外ドラマを見てるみたい。あるいは劇。

安心して読める。楽しめる。
最近全然本を読んでなくて何がいいかわらない、読みやすい本を読みたいな、という人におすすめ。

なんか久しぶりにこういうの読んだな。楽しかった。