りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

のれん噺

3/30(土)、社会教育会館で行われた「のれん噺」に行ってきた。
こちらの会に伺うのはとても久しぶり。開場時間過ぎてから入ったらお客さんがたくさん入っていたのでびっくりした。でも考えてみたらこのメンツだもんね。そりゃ集うよね。

 

・ひしもち「元犬」
・小燕枝「道灌」
・一朝「蒟蒻問答」
~仲入り~
・雲助「花見の仇討」
・志ん橋「大工調べ」

 

小燕枝師匠「道灌」
花冷えのこの日「朝から桜の下には大勢の人が頑張ってお酒を飲んでいました」に笑う。
小野小町も入るたっぷりめの「道灌」。
小燕枝師匠の穏やかな口調でこの噺、楽しいなぁ。はっつぁんも口は悪いけどのんびりした会話を楽しんでいる感じ。
楽しかった。


一朝師匠「蒟蒻問答」
噺家も昔はいろんな職を経て、もう他になるものがなくてなる人が多かった。
先代のさん助師匠はもやし屋。もやし屋なんて商売知ってましたか?
自分の師匠は三越…を面接で落ちたらしい。まぁあんな人が売り子やってたら大変です。「ナンダチキショー買わねぇってのか?!」。
そんなまくらから「蒟蒻問答」。
こんにゃく屋の大将も坊主になる男も元は江戸でやくざ稼業をしていただけのことはあって、威勢がいいカラっとした悪党。
寺男権助はのんびりした田舎の人だけどこれも結構な悪党。
問答の坊さんが来て、こりゃ寺を追い出されることになるなということになったとき、権助が「おらぁおめぇさんが気に入っただ。口は悪いけど腹にはなーんもねぇさっぱりした気性だ。おらが村はええところだから一緒に行くべ」と誘うのがおかしい。
売り払ってずらかろうとするところを訪ねて来たこんにゃく屋の六兵衛さん。「ここにあるものはおめぇたちのものじゃねぇんだ」とちゃんと道理を説くけれど、問答の坊主なんか無言で追っ払っちゃおう。それでもだめなら煮え湯ぶっかけて殺して裏に埋めよう」とけろっというのもおかしい。
問答の坊主は威厳があって大きな声で血気にはやっていて、六兵衛さんはしれっとしている、この対比がおもしろい。
勢いがあってピリっとしているけどばかばかしくて楽しかった。


雲助師匠「花見の仇討」
今朝、上野に花を見に行ったという雲助師匠。
着いたのが7:30。コンビニで缶ビールを買って花見をしたけど、あまりの寒さに「こいつはいけねぇ」と、とっとと撤収。8:30には家に帰った、というのに笑ってしまう。
そんなまくらから「花見の仇討」。
花見の趣向で亭主を馬にしてその上に乗ったおかみさん。周りから褒められていい気になって反り返る、そのまくらでもうおかしい。
というか、このまくらで桜が咲き乱れた公園とごった返す人の様子が目に浮かんでくるんだよなぁ。

最初から最後までたっぷり楽しい。
趣向で仇討をやろうという4人組のいい加減さと、たまたま出くわしてしまった侍のドタバタのおかしさ。
耳は遠いけど目は良くて頑固なおじさんのことを「古今亭志ん橋のような」と言ったのもおかしかったー。
ああー春だなぁーという気分にたっぷり浸れた。幸せ。


志ん橋師匠「大工調べ」
あまり好きな噺じゃなくて前半はちょっと長く感じたりもしたが、後半からの流れがとても楽しくて、お裁きの場面ではスカッと溜飲が下がる。
大工の棟梁と与太郎の掛け合いがとても好き。口の悪い江戸っ子だけど苦労人の棟梁とぼんやりした与太郎。この与太郎に目をかけて「バカだけど腕はいい」「母親想いの親孝行」とかばってやって、説教しながらも面倒をみてやる関係性が素敵だ。
「細工は流流仕上げを御覧じろ」のまくらからの「大工調べ」。サゲまできっちりで気持ちよかった!