りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

らく兵の落語おろし

10/23(火)、宮益坂十間スタジオで行われた「らく兵の落語おろし」に行ってきた。

・談洲「猫と金魚」
・らく兵「真田小僧」 
・らく兵「目黒のさんま」
~仲入り~
・らく兵「茶の湯


談洲さん「猫と金魚」
ヒップホップダンスを教える資格を持ってるからダンス(談洲)、と自己紹介。
それから自分の父は天然でした、とお父さんのエピソード。
「朝からこの歌が頭から離れない」と言って朝からずーーっと♪がーりがりくん、がーりがりくん、がーりがりくん~♪と歌い続けているお父さん。「これ何の歌なんだろう?」…ガリガリくんだよっ!
とか、「(お父さんの)頭はどうなってんだよ!!」とキレたら「白髪染めだ!」。…色を聞いてるんじゃねぇよ!
とか。
このおとうさんの話がツボすぎて笑いが止まらなかった。

そして落語はものすごい改作版の「猫と金魚」。
「金魚を上げろ」で揚げちゃうし、「そうじゃない、金魚を下ろせ」で3枚に下ろしちゃうし、旦那もそれ味わっちゃうし、そのたびに金魚屋が通りかかって代わりの金魚を買っちゃうし、のなんでもあり状態。
自由な前座さんだなー。前職では千原ジュニアの懐刀だったって後でらく兵さんが言ってたけど、なんかほんと心臓強そう。笑二さんの後が続いてこないけど、この人なら大丈夫そうな気がする。

らく兵さん「真田小僧
志ら乃師匠にお仕事をいただいて九州に行ってきたというらく兵さん。
二人のほかに志ら乃師匠のお弟子さんになった声優の山口勝平さんも一緒だったのだが、みなさん知ってますか山口勝平さんを。コナンの新一役の人ですよ!らんま1/2ですよ!大御所!しかも超売れっ子!なのにその山口さんが自分は前座ですから…と最初から最後まで自分が一番下という立ち位置で荷物は持ってくれるわ、タクシーを止めれば全員の荷物を荷台に入れてくれるわ、タクシーに乗る時は真ん中に座る、という徹底ぶり。
ああ、もう人間としてのレベルが全然違うんだな…できる人っていうのはこういう人のことを言うんだな、と驚きの連続でした。
自分がとにかく前座の頃、ダメ前座だったので。

すごいなーーと思ったのは、飛行機から降りるときって結構時間かかるじゃないですか。出口に向かう人の列ができると、そこにどういうタイミングで入ればいいかわからない。私なんかもともとそういうのが苦手なもんで、入ろうとして、「あっ」「ああっ」「あ、どうぞ」なんてやってるうちに、気が付くと一番最後になっちゃう。
それが山口さんは上の棚から荷物を出してですね、列ができるかできないかぐらいのタイミングでぐわっと後ろからの人たちをせき止めて「さ、どうぞ!!」って志ら乃師匠と私を先に行かせてくれたんです。あのせき止め…あれはすごかった。お前は黒部ダムか!!っていうぐらいのせき止めでしたから。それがすごくスマートで。もうびっくりですよ。

…山口さんの「できる」エピソード、一番熱く語ったのが飛行機から降りるときのせき止め力っていうのがなんかおかしい。
いやわかるけど、言いたいことは。
そしてそういう時に全く列に割り込めないというらく兵さん。せっかくのコワモテなのに中身は全然そうじゃないんだね。素敵。

そんなまくらから「真田小僧」。
訪ねてきてくれた男の人がサングラスをしていたことを「なんか世間に後ろ暗いところがあるのかな、色の付いたメガネをかけてね」って。さりげなく挟み込む言葉が巧みな金坊。
そして金坊の巧みな話術に、おとうさんついに「金払う!頼む、払わせてくれ!最後まで聞かせてくれ!」と絶叫。わはははは。
面白かったけど、小三治師匠が聞いたら怒るだろうなー…。(この間の一琴師匠への公開小言を思い出した)

らく兵さん「目黒のさんま」
お殿様があまりお殿様っぽくない。やんちゃが勝ちすぎてる?
焼き立てのさんまに醤油を垂らした様子が激しすぎてヒップホップになってるのがおかしい。
面白いんだけど、なんとなくちょこまかしていて落ち着かなかったかな。
私この噺大好きなんだけど、目黒ののどかな風景とか、漂ってくるさんまの香りとか、鷹揚なお殿様の様子とか…そういうところが好きなのかも。面白さを追求するとそういう味わいが少なくなってしまうという面はあるかなぁ。


らく兵さん「茶の湯
定吉がとてもかわいい。
そしてあくまでも知ったかぶりを貫こうとするご隠居がおかしい。
椋の皮には毒性があったというのは初めて聞いた。危ないって…!ご隠居!
茶を口に含んだ時の顔が漫画っぽくてとても楽しい。昔読んだ絵本「シナの五人兄弟」を思い出した。あの中に、海をまるっと飲み込むお兄さんが出てくるんだけど、その絵にそっくり!
何が笑ったって、茶の湯でやつれはてた隠居と定吉の様子。ほんとにげっそりして地獄を見たという迫力があったなー。
楽しかった。