りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

二喬会

10/20(土)、日本橋社会教育会館で行われた「二喬会」に行ってきた。

・駒六「手紙無筆」
・さん喬「ちりとてちん
・南喬「らくだ」
~仲入り~
・南喬「粗忽の釘
・さん喬「たちきり」


さん喬師匠「ちりとてちん
なんか客席が微妙な雰囲気。なんでだ?さん喬師匠のファンが多いと思うんだけど、笑い少な目?さん喬師匠も少しやりにくそうに見えたけど気のせいかな。そのせいかいつも以上に丁寧だった気がした。

ちりとてちんを食べてうぇってなるところ、白目を剥いたのがめちゃくちゃおかしかった。さん喬師匠が白目を…!って。


南喬師匠「らくだ」
人間にはいろんな人間がいて、いい人間に悪い人間。付き合いやすい人間に意地の悪い人間。また悪い奴のところには似たようなやつが寄ってくる。
そんなまくらから「らくだ」。

兄貴分がかなり怖い。脅し文句も「鼻から息がしたくねぇのか」「どてっ腹に風穴開けられてぇのか」「土の中に埋められてぇのか」と具体的(笑)。
屑屋さんはそんなに小心者という感じではなくあくまでも普通の人。
何か言われると「いやですよ」とちゃんと断るんだけど、ものすごい脅し文句を言われて「わかりましたよ」と言うことをきく。「嫌になっちゃうなぁ」「おかしなことになっちゃったなぁ」というぼやきがリアルなんだけどどこかユーモラス。
樽を借りて来いと言われて「四の五の言ったら」に「かんかんのうですか」と言うのも、だんだん面白くなってきたというよりは、そう理解したからという感じ。

樽を断られて「かんかんのう、おもしれぇじゃねぇか」と言われて「そうですか。またお座敷か」のつぶやきも、面白がって言ってるというよりは、またやるのか嫌だなぁの方が強い。

お酒を勧められて一杯目から「あ、うまい酒」と気づくのも自然で、ああ、お酒嫌いじゃないんだなというのがわかる。
二杯目飲んで「うまいな」とまた味わって三杯目には「こりゃたまんねぇな」。

酔っぱらってきて、「死んだ人を悪く言いたくないけどこのらくださんというのは酷い人でしたよ。弱い者いじめをするんだ」と言って、酷い目にあったことを言ったあとに「あたしは何度殺してやろうか思ったかわからない。匕首を懐に入れて出かけようとしたこともあります。でも殺したらそれで終わっちゃう。もう終わりなんだ、なにもかも。親も女房も子どもも…あたしがお縄になったら次の日からどうするんですか」と語るところでは、このくず屋さんの人間性がぐわっと迫ってきて涙が出てしまった。

素晴らしい「らくだ」だった。とても自然でユーモアもあってやわらかくて…最初から最後まで噺に引き込まれた。私はこの師匠の落語が好きだなぁとしみじみ思った。

 

南喬師匠「粗忽の釘
私が寄席で見て南喬師匠を好きになったのがこの噺だったと思う。
特別なクスグリがあるわけじゃないし、大工さんの粗忽ぶりもとんでもなく粗忽というのではないんだけど、とても自然でとても面白い。
「え?」って目を見開いて引くしぐさだけでめちゃくちゃ面白いんだよなぁ。
好きだー。


さん喬師匠「たちきり」
さん喬師匠はやっぱりこういう噺のイメージが強いなぁ。
弱い若旦那、恋煩いで死んでしまう花魁。もやもや~。