りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

鈴本演芸場9月下席 柳家さん若改め柳家小平太 真打昇進襲名披露興行

9/25(火)、鈴本演芸場9月下席「柳家さん若改め柳家小平太 真打昇進襲名披露興行」に行ってきた。

・さん喬「長短」
・ホームラン 漫才
文楽「権兵衛狸」
馬風 いつもの
翁家社中 太神楽
正蔵「鼓が滝」
~仲入り~
・真打昇進披露口上(歌る多、正蔵文楽、小平太、さん喬、馬風、市馬)
・橘之助 浮世節
・市馬「一目上がり」
・歌之介「お父さんのハンディ」
・正楽 紙切り
・小平太「居残り佐平次


さん喬師匠「長短」
丁寧な「長短」。
長さんが気が長いだけじゃなくてニコニコ機嫌がいいところが好きだな。
「物を教わるのは嫌いか」と聞かれた短さんが「いてぇところ突かれたな」ってちょっと嬉しそうなところもかわいかった。


真打昇進披露口上(歌る多師匠:司会、正蔵師匠、文楽師匠、小平太師匠、さん喬師匠、馬風師匠、市馬師匠)
正蔵師匠が小平太師匠のことをさんざん褒めてお客さんに贔屓をお願いしたあとに「小平太でよかったんだよね?」とさん喬師匠に自信なさそうに確認して、さん喬師匠が「うん、だいじょうぶ」と言ってから鼻をくしゃっとして笑ったのがなんかよかった。
馬風師匠の昭和なかほりの面白くないけど誰も止められない口上の後の、市馬師匠の安心感。ああ…この人が会長でよかった、としみじみ思う。カリカリもせず同調もせず、きちんときれいごとな口上。ほっ…。
・さん喬師匠が小平太師匠のことを、家族のぬくもりを知らず…と言ったのがちょっと気になる。え?そうなの?って。最初に楽屋に来たときはヒッピーみたいな汚い恰好だったし年も取ってるしどうかなと思ったけど、これも縁だと思って弟子にとったっていう話、いいな。


橘之助師匠 浮世節
三味線も歌も小菊師匠に比べたら×××なんだろうけど、でも前はほんとにかるーい三味線漫談だったのが、結構難解な曲に挑戦してそれを定番にしつつあるところにぐっとくる。
小平太師匠のことも「なんかいいでしょ、あたし大好きなの。あの顔見るとほっとするのよね。ね?」と言った後に「初めてのトリって緊張するのよ。ほんとに緊張するの。今も後ろですごい緊張してるわよー」と言った後に楽屋の方を向いて「ざまーみろ!」と笑ったのがよかったな。
ホームラン先生もそうだけど、色物の先生方も新真打へのお祝いの気持ちが溢れていてじーんとくる。


市馬師匠「一目上がり」
時間が押してたのかコンパクトだったけど、こういう時もおめでたい噺をすっきりするところが好き。

 

小平太師匠「居残り佐平次
たくさんの拍手に迎えられ、頭を深々と下げて「ようやく私の番になりました」と小平太師匠。かわいい後ろ幕を背に「居残り佐平次」。
意外!と思ったんだけど、これがものすごくよかった。

佐平次がとにかく明るくて軽くてパーパーしていて…それに小平太師匠のくりっとした人懐っこい顔、しっかりした声、てきぱきした動きとが相まって、とっても生き生きしてる。とってつけたような悪ぶった感じが全くないんだけど、でもちゃんとどこか信用できない感じが漂ってる。
さんざん飲み食いしていよいよ誤魔化しきれないと思った時に佐平次が若い衆に「お前、体の具合どこも悪くない?心臓が弱いとかない?」と聞いて、「金はない!」と大きな声できっぱり言うおかしさ。
「行燈部屋に籠城いたしましょう」と慣れた感じで言うのも、いけしゃーしゃーとしているけどおっちょこちょいな感じで憎めない。
最後、旦那を相手にあれこれふんだくって若い衆に悪ぶるところも、小悪党という感じでそんなに嫌な気持ちにならなかった。
私、この噺でこんなに楽しかったの初めてだなぁ。面白かった~。

そして、小平太師匠が出てくるときに楽屋から拍手で送りだしている音、幕が下りてからの手締めの音、何度聞いても特別な場に居合わせたという幸せに包まれる。よかった!