りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

第362回 圓橘の会

4/21(土)、深川東京モダン館で行われた「第362回 圓橘の会」に行ってきた。
前回行ってとてもよかったので、できるだけ通おうと思っている会。次回は予定が入ってるから行けず。くーー。痛恨。


・まん坊「やかん泥」
・圓橘「猫定」
~仲入り~
・圓橘「塩原多助一代記 ~遺恨を含んで小平多助を害せんとす~」


まん坊さん「やかん泥」
小噺も落語も全部ちゃんと面白い。いいなぁ、まん坊さん。さすが萬橘師匠のお弟子さんだな。
よく聞く「やかん泥」と展開が違う。系統(?)が違うんだろうな。誰から教わったんだろう。


圓橘師匠「猫定」
出囃子が「猫じゃ猫じゃ」だったんだけど、これは俗曲で昔はたいそう流行りました、と。
この頃、この曲にあわせて猫がぴょこぴょこ踊ったんだけどこれはそう仕込んであって…鉄板の上に後ろ足にガーゼを付けた猫を乗せて、この曲を流す。ガーゼの付いてない前足は熱いからぴょこっと上げる。そのうちガーゼをつけてる後ろ足も熱くなるから後ろ足もぴょこっと上げる。
それを繰り返すうちに、この曲を聞いただけで猫が鉄板の上でなくてもぴょこぴょこ足を跳ね上げるように…。

また、我が家にも長いこと猫がおりました。20年ほど生きましたが亡くなって今は回向院に眠っています。
回向院には猫塚というのがあってこれがねずみ小僧の隣にあるっていうのも皮肉な話。

それから山口瞳さんというのはたいそうな博打打でその筋の方とも付き合いがあったほど。
エッセイに書いてありましたが、博打打というのは不思議と男女の営みができなくなることがあるそうで。

そんなまくらから「猫定」。

いやもうこれがとても楽しかった。
ぞっとするような怖さもありつつ、でもおかしいし、悲しいし…もう何とも言えない味わいがあって。
また猫を飼ってらしたからなのか、猫の鳴き声や真似がものすごくリアルでかわいらしい。
サゲで思わず「うぉ…」とため息が。
ほんとに素敵、この師匠。多分すごくまじめな方なんだと思うんだけど、笑顔がすごくチャーミングでそのギャップがたまらない。

すごかった。もうこの一席だけで来た甲斐があったというもの。


圓橘師匠「塩原多助一代記 ~遺恨を含んで小平多助を害せんとす~」
多助が主人に自分が預けていた金と併せて二十両貸してくだせぇと主人に頼んでいる。
普段堅いお前のことだから変なことに使ったりはしないと思うが、二十両と言えば大金。何に使うのだと尋ねると、押原横町のぬかるみに敷石を置きたいと言う。
自分の町内でもないところにそんなことをするのは…と主人が言うと、これは自分のためだけではない、ここを通る人たちのためにやりたいのだ、と多助。ここを通るたびにわらじが2つダメになる。それは自分だけでなくここを通る人はみな同じはず。無駄になったわらじ賃を思えば、敷石を置くことでそれがかからなくなるのだがみな助かるはず。
それを聞いて主人が「お前にそこまでの考えがあるとは思わなかった。ならばやってこい」と二十両を貸してくれる。

その金を懐に入れて御茶ノ水の方を歩いていると後ろから近づいてくる男が。それが小平。
いまだに了見を入れかえねぇのかとあきれる多助に「そんなことはどうでもいいから懐に入れた金をよこせ」と小平。襲い掛かってきた小平になすすべもない多助が助けを求めると洗われた侍が小平を川に投げ込んでくれる。
多助が侍に礼を言うと、この侍が多助の実の父親。3年前に再会した時は多助のことを誤解して冷酷な言葉を投げかけた父だったが、事情も知り、また多助の炭屋での実直な働きぶりも知って、ようやく親らしい言葉をかける。

多助はその後、押原横町のぬかるみに敷石を敷いて、それは百年もったと言われている。

…初めて聞く噺なのでとにかく聞くだけで必死(笑)。
でも実直な多助が魅力的でその部分だけでも安心して聞いていられる。そこが西海屋騒動とは違うところ…もごもご…。

せっかく続き物で聞いていて来月行けないのは残念だけど再来月はぜひ。