りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

「渋谷らくご」立川左談次五十周年④ ~やなぎや?の会~

7/11(月)、ユーロスペースで行われた「渋谷らくご」立川左談次五十周年④ ~やなぎや?の会~に行ってきた。


・わさび「ちりとてちん
遊雀「四段目」
・左談次「妾馬」
・小八「らくだ」


わさびさん「ちりとてちん
やや緊張気味のわさびさんが新鮮。
左談次師匠の50周年記念公演ということで満員のお客さんでなんか独特の雰囲気だものねぇ

旦那が腐った豆腐をまぜて作った「ちりとてちん」。作る場面で唐辛子入れなかったなーと思っていたら、嫌味なろくさんが食べる時に「ちょっと唐辛子もらえますか」と言って入れ始めた!
「別にさっき仕込み忘れたから…じゃないですよ」
それに対して隠居が「ああ。(仕込み忘れると)食べる時に自分で入れることになるんだな」。
ぶわははは!こういうセンスがたまらない。さすがです!
 
遊雀師匠「四段目」
前方のわさびさんをいじりつつ、あとから出てくる左談次師匠、そしてトリの小八師匠への気遣いも見せる遊雀師匠。
渋らくの独特なお客さんたちのハートもぎゅっと掴む。すごいなぁ
 
余裕の高座でどっかんどっかんウケる。
この噺を初めて聞く人も多かったのか、「ここで笑いが起きるのか(普通だったらこの次のセリフでどっかんとくるんだけどな)」と驚くようなところでも笑いが起きるんだけど、その笑いがおさまるのをちゃんと待ってから次のセリフ。
かーっ。こういうところがうまいんだよなぁ。かっこいい~。
 
左談次師匠「妾馬」
今日の主役、左談次師匠。
ネタ出してされていた「妾馬」、ここに来ながら稽古してきたけど、8か所ぐらい忘れてるところがある、などと言いながら。

いやぁ、これが、すごくよかったなぁ。
八五郎がとってもチャーミング。口が悪くていい加減で、でも悪気がなくて優しくて。
お鶴に気が付いた時の「きれいなぴかぴかした着物を着させてもらって」という笑顔にじーん。
お前に着させてやりてぇって思ってたけどオレがこんなだから着せてやることができなくて。でもよかったじゃねぇか!」と喜びながらも、「でもだからってえばってちゃいけねぇよ」と本気になって心配して語り掛ける。
これがもう全然作った感じがなくて自然体で…。よかったなぁ。
 
それにしてもこんなふうに頑張る左談次師匠を見ちゃうと…お江戸日本橋亭で軽い噺でへらへらっと降りる師匠が懐かしくなっちゃうな。
渋らくじゃない左談次師匠が見たくなった。
 
小八師匠「らくだ」
左談次師匠のこんな素敵な高座の後じゃ、さぞかしやりづらかろうと思っていたら、頭を下げるなり「おい、らくだ!」、まくらなしで噺に入った!
ぐわっ、か、かっこいい!
 
どすのきいた兄貴分と、どやされるたびにびくっと肩があがる怖がり屋の屑屋さん。
全体的に暗いトーンなのが喜多八師匠を思い出させる。
でもその分、大家さんとか町内の人たちが漫画チックなキャラクターで、そこで笑いがうまれる。
二人の立場が逆転してからの気持ちのいいこと。
しかも焼き場のところまでたっぷり。
 
やるなー小八師匠!これは鈴本の主任も楽しみだなー。
もうヘタレなろべえさんじゃないんだね、と思うとちょっとさみしくなるけど。