りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

御徒町ダイヤモンドライン vol23

8/30(水)、上野広小路亭で行われた「御徒町ダイヤモンドラインvol23」に行ってきた。
 
・馬ん次「真田小僧
・柏枝「大安売り」
・小助六「お岩誕生」
~仲入り~
・園馬「手水廻し」
・小夢「夢の欠片」
 
馬ん次さん「真田小僧
すごく緊張してて危なっかしい感じはありつつ、なんか面白い。
噺の展開が面白くて、誰に習ったんだろう?と気になる。
最初はフラットな感じで聞いていたんだけど、途中から結構笑っちゃった。
楽しみな前座さんだな。
 
柏枝師匠「大安売り」
面白いなぁ。なんだろう、この師匠の面白さって。うまく説明できない面白さ。
結構ゆっくりしたテンポと間なんだけど、すごくおかしくて、あほのように笑ってしまう。
ネタ卸しだったのか、ちょっと危ない感じがしたところもあったけど、それさえも笑いに変えてしまう。
この噺でこんなに笑ったの初めてだった。
 
助六師匠「お岩誕生」
助六師匠、怪談もやるんだ?
あんまり怖くならないようにわりと軽めに…そして淡々とやっているんだけど、怖い…。
絵が浮かんでくるんだよなぁ…。
料理をしていると天井から血がぽたりぽたり落ちてくるところとか、金貸しの女房が殺されて訪ねてくるところとか、押し入れから風呂敷包みを出すと生首がごろんごろん…ひぃー。こわかった~。
 
園馬師匠「手水廻し」
身体を鍛えるために山登りを始めた園馬師匠。
新しく入ったお囃子のお姉さんが本格的な山ガールなので、彼女に指導してもらおうと山登り部を発足したらしい。
メンバーは四名で、その中で特に張り切っているのが陽子先生。
まずは高尾山に登ることになったのだが、当日の朝、陽子先生が来ない。あんなに張り切っていたのに…。
どうしたのかと思ったら乗り換えを間違えて八王子に行ってしまったらしい。
遅れて登場した陽子先生。2000メートル級の山にも登りそうなぐらいの本格的な装備。
こんな装備で電車に乗ってたなら、他の乗客が教えてやるがいいじゃないか。「山に行くならこの電車じゃないですよ」。
 
…ぶわははは。
張り切る陽子先生が浮かんできておかしいし、園馬師匠の語り口が飄々としているからそれが余計におかしい。
 
大阪では顔を洗うことを「手水を廻す」と言うのだが、同じ関西でも田舎の方ではこの言葉がわからないことがある、そんなまくらから「手水廻し」。
今まで一度くらいは聞いたことがあったっけ。上方の噺なのかな。
大阪から旅行に来た男二人が旅館の女中に「手水を廻したいから用意してくれるか」と声をかける。
「手水を廻す」の意味がわからない女中は主人に聞きに行き、主人もわからないからと調理場に聞きに行き、それでもわからないので和尚に聞きに行き、和尚が「ちょうずとは、長い頭のこと。すなわち、ちょうずをまわすというのは、長い頭を回すことだ」と教える。
それを聞いて隣村のひときわ頭の長い男を連れてきて…。
 
最初から最後までひたすらばかばかしいんだけど、園馬師匠の弾けっぷりが素敵すぎてもうおかしくておかしくて笑いっぱなし。
女中と主が「ちょ、ちょうずぅ?」「ちょ…ちょうず」と掛け合うだけでもう死ぬほどおかしい。
園馬師匠もどんどんノリノリになってきて、「ちょうずの歌」まで飛び出して、もう最高。
頭の長い男が入ってきたときのしぐさとか、旅館の主人と番頭?が「手水とはどういうものか実際に体験してみよう」と大阪の宿に行って聞くときのすました様子とか、細かいところがきちっとしているから、余計におかしい。
 
いつもはどちらかというと端正な園馬師匠が、大サービスで弾けてくれて、笑った笑った。
楽しかった~!
 
小夢師匠「夢の欠片」
先代の夢丸師匠が「江戸噺」というのをやっていて、小夢師匠がそれにこの作品で応募してそれがきっかけで噺家になったという話は、真打のお披露目の時に聞いたことがあったのだが、今回はその噺でトリをとる小夢師匠。
 
とある絵師がお得意様の旦那の所に頼まれた錦絵を描いて持って行くのだが、旦那に「お前は女を知らないだろう」と言われてしまう
確かに着物は非常によく描けているけれど、女に生命力が感じられない。
最初は旦那の言葉に反発していた絵師だったのだが、「絵描きを職業としている以上、この絵は描けないというのは言いたくない」という気持ちから、旦那に言われて深川に「夜鷹」や「船饅頭」に会いに出かけていく。
恐る恐る歩いているとさっそく夜鷹に声をかけられたのだが、これが近くで見たら相当なおばあさん。
俺は化け物を描きたいわけじゃない!と逃げ出してふらふら歩いていると、透き通るような美しい女とすれ違う。
思わず声をかけると女は「私が見えるのですか」。
女は船饅頭だったので船に乗り夢のような一晩を過ごす…。
それから一か月後、得意先の旦那のもとを訪ねてきた絵師は…。
 
まじめでかたくなな絵師と小夢師匠が重なって見える。
小夢師匠の独特な線の細い語りと噺がとてもよく合っていて、ちょっとびっくり。
もっと新作作ってやればいいのに!
なーんて、こんな作品はポンポン作れないか。
 
ゲラゲラ笑って、ぞーーっとして、またひっくり返って笑って、最後はちょっとしんみり。
面白い構成だったし、いいメンツだったし、楽しかった~。