りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

特別料理

特別料理 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

特別料理 (ハヤカワ・ミステリ文庫)

★★★★★

まったく何ともいいようのないうまさだった―隠れ家レストラン“スビローズ”で供される料理はどれもが絶品ばかり。雇い主ラフラーとともに店の常連となったコステインは、滅多に出ないという「特別料理」に焦がれるようになるが…。エラリイ・クイーンが絶賛した戦慄を呼ぶ表題作をはじめ、アメリカ探偵作家クラブ賞受賞作「パーティーの夜」など、語りの妙と優れた心理描写を堪能できる十篇を収録した傑作短篇集!

いわゆる「厭な物語」なのだが、最近の厭な物語が最後に厭なものをチラリと見せてニヤリと笑うのに対して、こちらは最初から厭なものがあることを匂わせて徐々にそれに近づいていくような感じ。
どの物語もものすごくストイックに計算されているので、こちらもあまりにのめり込むと物語のなかに取り込まれてしまうのではないかというような恐怖を感じる。

作者の切実さが「面白かった!」という言葉を封じているようにも思える。
序文のエラリークイーンの手放しの絶賛の言葉がこの短編集に花を添えている。素敵。