りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

新作落語せめ達磨vol.57

7/31(金)、中野小劇場で行われた「新作落語せめ達磨vol.57」に行ってきた。

・志ん八・めぐろ・花いち《前説》
・ふう丈『アンケートBOX』
・粋歌『夏の思い出』
・天どん『計画表』
〜仲入り〜
・吉好『ショッカー戦闘員の嫁入り』
・きく麿『あつイラッ』

粋歌さん『夏の思い出』
自分は夏休みの宿題はいつも最終日に慌ててやるタイプでした、と粋歌さん。
中学生の時の8月31日、深夜放送を聞きながら次々夏休みの宿題をこなしていた時、明け方近くになって「自分はいったい何をやっているだろう」と心底虚しくなったというのがとてもリアルで笑ってしまう。
「夏の思い出」は夏休みの後半になって母親に「宿題やったの?」と聞かれる少年の噺。 とにかくこの少年の「おれ」発言がすごくリアル。めちゃくちゃな言い訳がしょうもない小学生以外の何物でもないので、「なんじゃそりゃ」とハハの気持ちになって笑ってしまう。 この噺も前の日の晩に慌てて作ったのだろうか(笑)。

天どん師匠『計画表』
今日は落語協会の寄合に行ってきましたよ、と天どん師匠。
「なんでわざと遅れてくるんでしょう?マネージャーの車で会場の脇までつけてもらってるくせに」と毒を吐く。
そして今回自分が作った噺、思い切り粋歌さんとかぶってますよ、と。同じテーマでも人が違うとこうも違うかと楽しんでいただければ、と「計画表」。
きれいごとな夏休みの計画表を書いて遊びに出かけようとする息子を引き止める父親。これがすごく変なおやじで、こんな計画表じゃだめだ!とダメだし。じゃどういうのならいいんだ?と聞くと「何事も勢いだー!」。
なんかよくわからないけど、ひねくれ加減がいかにも天どん師匠っぽかった。

吉好さん『ショッカー戦闘員の嫁入り』
初めて見る噺家さん。オタク新作落語の人らしい。
楽屋でさんざんアウェイ感を味わってきたという吉好さん。
高座でもアウェイ感を味わってしまったか…?
こういう元が分からないと面白くないという噺はなかなか難しいのかも。
私は仮面ライダーV3に後半出てきたマスクから顔が半分出ちゃってた足手まといのライダーをうっすら覚えていたので、そこがやけにおかしかった。

きく麿師匠『あつイラッ』
見に行きたい行きたい思いながら最近なかなか行けていないきく麿師匠。
前回の「せめ達磨」でも北九州に戻った時に出会ったキテレツなおばあさんのまくらがおかしかったんだけど、今回も行きつけのお店の話がおかしい。
普通に考えたら冴えないお店なんだけど、それを面白がれるっていうのはいいよなぁ。
あれも話したいこれも話したいという感じで次々面白い話が飛び出してくるなぁと思っていたら「今日はこのまま噺に入りたくない」ときく麿師匠。わははは。どうやらまだサゲを考えてないらしい。なんとー!

でもやらないわけにはいかないと、「あつイラッ」。
自分は暑い中仕事をしないといけないのにお前は涼しいところで座ってればいいんだから楽だよなと責められている男。金を出せばいいと思ってるんだろう?と結構な責められようなんだけど、実は中華屋に入って注文を言った客がその店の主人にチクチク言われているのである。
確かにこの異様な暑さ…。何もしたくないよなぁ。中華料理なんてものすごい火を使うから料理するのも嫌だろうけどでも、でもなんなんだこの状況は!
でも会話を聞いているとこの客もちょいちょい不用意に失礼なことを言っているのである。
中華料理屋で散々な目にあって、店を出た後同僚の女の子にあってそのことを愚痴ろうとするとそこでもまた不用意な失言から大騒ぎに発展して…。 面白いんだけど、出てくる人たちがみなイライラしているので(イラっというだけのことはあって)聞いていてちょっと苦しくなってくる。何かもう一つバカバカしいお笑い要素があったら…と思ったり。

サゲが決まってないと聞いていたので、これはいったいどうやって終わるんだろうと後半会場全体がドキドキムード。この緊張感がせめ達磨!って感じで楽しい。