りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

らくご街道 雲助五拾三次 -発端-

五街道雲助師匠が「五街道」の起点「日本橋」で、たぶん毎月、だいたい独りで、五年間らくご会をやろうという企画。
その第一回に行ってきた。
ちなみにチケットは第一回〜第四回まで通しで買っているので、これから毎月一回は雲助師匠に会えるわけだ。うはうは。

・市助『たらちね』
・雲助『三人旅(発端)』
・雲助『百川』
〜仲入り〜
・雲助『明烏

旅の始まりということで最初は「三人旅(発端)」という噺。
ある男がクジに当たって家に帰ると、そんな金を喜んでもって帰ってくるんじゃない、とっとと使っちまえとおやじに脅される。
何か使い道はないかと友だちに相談すると、上方見物にでも行こうと言う。自分たちは江戸を離れたことがないからここはひとつ旅慣れた友だちを誘おうじゃないかと話しているとそこにその本人が通りかかって…。

これはなんてことのない噺なので寄席にかけられることもないし、みなさんも今後この噺を聞くことは二度とないと思います、と言う雲助師匠。
確かにただ男たちが気楽に話をしているだけの噺なのだが、しかしなんかあぶく銭を手にしたから友だち同士ちょっと遊ぼうじゃないかというウキウキ感がにじみ出ていてなんだか楽しい。
こういう噺を何気なく語りだしたとたんにその風景が浮かんできてそんな心持にさせてくれるというのが雲助師匠の素晴らしいところ。

二席目は「百川」。大好きな噺だ。
私は小三治師匠の「百川」が大好きでCDで何度も聞いているのだが、雲助師匠の「百川」は展開が少し違っていた。

百兵衛が百川を訪ねてくるところではなく、町の若い衆が祭りを前に質に出してしまった四神剣(しじんけん)をどう取り戻そうかと画策しているところから始まる。
次は隣町が当番だから四神剣を返してくれと言ってくるだろうが、四神剣は質に入れたままだし金のあてもないしどうしよう。
確かに先にその話があると、百兵衛を隣町から来た掛け合い人と勘違いするところもわかりやすい。

若い衆の中で自分が一番話のわかる男だと言っている初五郎が勝手に早合点していくところと、それを「ほんとかい?そうは聞こえなかったけどなぁ」と言う男と「いや確かにそう言ってたよ」と合いの手を入れる男。この3人のやりとりを雲助師匠のゆったりした語りで聞くのはとても心地よくて楽しい。
百兵衛さんもおっとりとかわいらしくてとてもよかった。

仲入り後は「こちらは若旦那の発端の噺」と「明烏」。
以前雲助師匠が「明烏」を大好きな噺とおっしゃっていたので、それを聞けるのか!とうきうき。
女の私からするとそんなに好きな噺ではないのだけれど、ここが吉原だと気付いて嫌がっておいおい泣いていた若旦那が、次の日の朝には花魁と一晩を明かしてまんざらでもない…という対比が楽しかった。

お客さんは年齢層高め。女性ファン多め。
素敵な会場で雲助師匠の噺をたっぷり3席聞けるという贅沢さ。
twitterfacebookを見たと言えば当日でも前売り価格で入られるということなので、気になった方はぜひ!
(回し者ではございません)