運転席
- 作者: ミュリエル・スパーク,深町真理子
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1972
- メディア: 単行本
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感想を書こうとしていて初めて気づいた。私この小説前に読んでいたんだわ…。スパークは何冊か読んでいるけど、これは読んだことないと信じていたよ…。
主人公のリズは知性もあり仕事もきちんとこなす女性なのだが、旅行前の買い物のシーンがすでにエキセントリックでなにかにせかされているようで不穏な雰囲気だ。 結末は物語のはじめの方で明らかにされ、読者は不吉な予感を抱きながらリズの行動を息を潜めて見守ることになる。あたしにふさわしい男を見つけなければと動き回るリズ、次々起こす奇怪な行動、噛み合わない会話。 なんか変だ?なにかがおかしい?と読んでいる間なんともいえず落ち着かない気分になる。
そして最後まで読んで、ああ…そういうことだったのか、と腑に落ちるのだが、しかし何一つわからないといえばわからないのだ。 さすがスパーク一、一筋縄では行かない…。本当に他に類を見ない独自な作家だなぁと思う。