りつこの読書と落語メモ

読んだ本と行った落語のメモ

きみはいい子

きみはいい子 (一般書)

きみはいい子 (一般書)

★★★★★

ある雨の日の夕方、ある同じ町を舞台に、誰かのたったひとことや、ほんの少しの思いやりが生むかもしれない光を描き出した連作短篇集。
夕方五時までは帰ってくるなと言われ、雨の日も校庭にたたずむ生徒と新任教師との心のふれあいを描く「サンタさんの来ない家」をはじめ、娘に手を上げてしまう母親とママ友との物語、ひとり暮らしが長くなった老女と、家を訪ねてきたある男の子との物語など、胸を打つ作品を五篇収録。
人間の優しさとその優しさが生む光が、どれほど尊くかけがえのないものかをあらためて感じさせる感動作。

虐待の描写に胸が痛んだ。

痛ましい事件があるたびにどうして救ってあげることが出来なかったのかと思うが、家庭という密室で行われていることに他人が踏み込むことの難しさもわかる。
当事者だけでなく、教師、同級生の親、ママ友、近所に住むおばあさん、様々な視点から描かれていて、親の代わりになってやれなくても助けてあげることはできる、手を貸してあげることはできると教えてくれる。
「こんにちは、さようなら」「うばすて山」が特に良かった。