七人のおば
- 作者: パット・マガー,大村美根子
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 1986/08/22
- メディア: 文庫
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背表紙には「安楽椅子探偵ものの傑作」とある。安楽椅子探偵ものって今まで読んだことがない。
殺人事件なのにユーモア?聞き込みもしないで謎を解く?ありえないっしょ!探偵なら足を使え足を!という、お堅いことを言っておったわけだね。
(と言いながら、そうか。リンカーンライムは安楽椅子探偵か…←wikiを見て気付く)
でもね。「桜庭一樹読書日記」で桜庭さんがパットマガーとかああいう時代のミステリーが大好きだ!と書いていたからさ。こりゃ読んでみようか、と思ってチェックしていたのだ。
結婚し渡英したサリーの許へ届いた友人の手紙で、おばが夫を毒殺して自殺したことを知らされた。が、彼女にはおばが七人いるのに、肝心の名前が書いてなかった。サリーと夫のピーターは、おばたちと暮らした七年間を回想しながら、はたしてどのおばなのか、見当をつけようと試みる。一作ごとに趣向を凝らすマガーの代表作!
主人公(語り手)のサリーはある日、おばがおじを殺して自殺したと友人からの手紙で知らされる。でもサリーには7人のおばがいて、殺人を犯したおばがどのおばかわからないのだ。で、サリーの夫ピーターが「眠れないなら、おばさんたちと暮らした7年間を思い出して話してくれ」と言うのだ。サリーの話から、おじを殺したおばは誰かを自分が推理する、と。
7人いるおばが揃いも揃って曲者ばかりで、どのおばも殺人を犯しかねないような人たちなんだよね。わはは。
いやこれが面白い面白い。
確かに部屋から一歩も出ないんだけど、サリーが語るおばたちの話が実に臨場感あふれていて実にドラマティックなので、飽きさせないのだ。
なにより、7人のおばとおじたちが生き生きと描かれているので、そこがとても面白い。
ちょっと離れたところから親戚のゴシップを聞いたりすると、ものすごーく盛り上がったりするじゃない?そういう下世話な感じもありつつ、でも「ああ…かわいそうだなぁ…」と思ったり「わかるなぁ」と思ったり「いやだなぁ」と思ったり。まるで自分にもそんなおばがいるみたいな気がしてくるんだな。
ミステリーだけど、読んでいてなぜかちょっとゆったりした気持ちになれて、楽しかったなぁ。
ゆっくり読む楽しさみたいな想いを久しぶりに思い出したよ。
他の作品も読んでみよう。そして桜庭さんが好きだと言っていた「この時代のミステリー」を私もどんどん読んでみよう。